「ブログ終了」のお知らせ

この2016年3月25日をもって「藤尾正人のブログ」は終了します。長年お読みいただき、メールや、電話や、葉書で感想をお寄せくださり、ありがとうございました。 ブログは、じつに楽しく書けました。「書くんだ」という気持ちがあると、ヒントがぴょんぴょん…

「各隊、使役3名!」受動から能動へ

<予告・この3月をもって「藤尾正人のブログ」は終了します> むかし日本帝国陸軍の兵士だったころ、ときどき「各隊、使役3名!」という命令が来ます。「使役(しえき)」とは任務以外の雑用作業です。「ここのものを、あちらに運べ」とか、「便所の汲み取り…

月のかげ、十字架のかげ

「月かげさやかに み空にかがやく、ハレルヤ、ハレルヤ、」(讃美歌75番)。アッシジの聖フランチエスコの作詞です。この「月かげ」の原文は「月の光」に違いないのですが、日本語らしい「月かげ」という翻訳です。「かげ」というのは、ほんらい「光によって…

「終活」準備完了して待機する友

2月15日、古い友人の勝原文夫君をたずねた。彼はかつての職場の同僚で「農の美学」三部作のある風景論学徒でもあり俳人だ。 彼がわたしに「もしものさいはキリスト教で葬儀を」と頼んだのは2009年の春。喉頭ガンの疑いで検査入院する前だ。検査の結果疑いが…

イエスさまの真逆の命令

マルコ福音書1章で「重い皮膚病患者」が癒されます。5章では「重い精神の障がい者」が癒されます。イエスさまは、重い皮膚病を癒したあと「だれにも言うな」と厳命されます。ところが、精神の障がいに苦しんだ人には「家に帰り、主が、あなたにしてくださっ…

「山がない・月の武蔵の江戸育ち」

「さてそのつぎに控ぇしは、月の武蔵の江戸育ち」は、歌舞伎「白波五人男」の三人目、忠信利平の口上です。この「月の武蔵の江戸」というのは、関東平野が広く、身近に月をさえぎる山がない武蔵(いまの東京・埼玉)だからこそ生まれたことばです。 東京都民…

「〇からの出発」と「九〇点からの出発」

70年前の1946年正月の今ごろ、全国どこの駅前にも「ヤミ市」ができ、すきっ腹をかかえた失業者があふれ、日本はへとへとの敗戦の中にいました。敗戦後の日本は「〇からの出発」でした。それが30年たつと日本の経済力は押しも押されもせぬ世界トップ級になっ…

「からだに入った」ドキドキする福音

新年、うれしいお便りをいただきました。 「わたしは三年生の聖書の授業を担当してきたのですが、聖書の授業をするのが、うれしくて、うれしくてなりません。聖書から与えられた恵みを伝えることは、ほんとうに楽しいです。新しい発見、感動を、与えられた喜…

新春の着物 キリスト信仰の自分模様の紬織り

キリスト信仰も最初は細い糸を紡(つむ)ぐことから始まります。糸ができるとさまざまな色に染め、タテ糸とヨコ糸を機(はた)にかけ、自分模様の信仰に織り上げるのです。タテ糸はキリストとわたしの関係、ヨコ糸は隣人とわたしを結ぶ糸です。 日本の紬(つ…

昭和天皇と、いまの天皇と、わたし

いまの天皇が誕生された昭和8年(1933)12月23日、わたしは小学校3年生でした。先生から、きょう皇子誕生なら歩兵の練兵場で大砲が1発、皇女なら2発鳴ると聞かされました。やがて大砲が1発とどろいたのです。耳をすましていても2発目は鳴りません。教壇の先…

同じ話をまた聴きたい

「きょうと同じ話をもう一度してください」と頼まれたことが三度あります。日本で二回、韓国で一度。 ふつう聖書の集会で同じ話は禁物です。わたしが伝道者になったとき、父・英二郎は「同じ場所で、同じ話を少なくても二年間はするな」と戒めました。偉いキ…

闇夜の海底行進の「一歩」また「一歩」

旧約聖書の「出エジプト記」14章に、海が割れてイスラエルの民衆が「闇夜の海底行進」をした記事があります。 彼らはリーダーのモーセにひきいられ、エジプト大脱走(エキソダス)の旅に出るのですが、そのしょっぱなから「迂回」(13・8)や、「引き返し」…

誓約と結婚 信仰告白と洗礼

先日、結婚式の司式をしました。新婚のふたりは、神と会衆のまえで宣誓し、「結婚誓約書」に署名しました。ふたりが夫婦の自覚を深めた「あのとき」は、生涯わすれられない「結婚記念日」になるでしょう」。 同じく記憶に残るのは洗礼を受けた「あのとき」で…

九〇歳の「五分間 結婚式・式辞」

ただいま、お読みした旧約聖書の、天地創造の神さまのことばに、「人は独りでいるのはよくない。彼に合う助ける者を造ろう」とありました。この「合う」ということば。これは「ぴったり合う」という意味です。目方を量る天秤の、こちらの皿に新郎を乗せ、こ…

宮沢賢治とクリスチャン

「雨ニモマケズ」で有名な宮沢賢治が、こんなに多くのクリスチャンにとりかこまれていたとは知りませんでした。雑賀(さいが)信行著「宮沢賢治とクリスチャン 花巻編」は、第1章「花巻の無教会」、第2章「花巻のバプテスト教会」の二本建てですが、いかにも…

バルトと歎異抄

262文字の「般若心経」は、日本人にもなじみ深いお経です。この経典は、204文字のキリスト教の「使徒信条」と共に、それぞれの信仰のエッセンスをしるします。わたしも「ぎゃてー、ぎゃてー、はらぎゃてー、はらそうーぎゃてー、ぼじそわか」と、「空即是色…

老人だから感動します

人間だれしも、これが最後の別れとおもうと、しみじみ相手を見つめるでしょう。老人も90歳になると来年生きているかどうかわかりません。何もかもこれが最後かと思うのです。だから感動することも多いのです。 この春、履きなれたズックをスニーかーに替えま…

「聖書を新聞のように」「新聞を聖書のように

「『聖書を新聞のように』『新聞を聖書のように』読め」といったのは内村鑑三だ。古い聖書のことばを、きょうの出来事のように新鮮な驚きで読み、きょうの出来事の中に、永遠の真理をつかみ取れといったのだ。それでわたしは、9月のブログを「新聞月間」にし…

「ローマ・カタコンベ新聞」紀元58年〇月〇日号

「昨夜、カタコンベ(地下墓地)でうれしい集会があった」「使徒パウロから、わがローマ教会にあてた長文の手紙を、ギリシアのケンクレア教会女性世話役フェベがたずさえて来て、その第1回の朗読会がひらかれたのだ」。 「夜ぞくぞくと集まった会衆は、老若…

「フィリピ新聞」紀元50年〇月〇日号「パウロとシラスの二人」

「けさフィリピ地方を強い地震が襲った」「本社記者の調査によると、街をめぐる城壁の中央を東西に貫く『エグナティア街道』の南がわの被害が大きいという」「街道の北に建つ裁判所や円形劇場は一部こわれただけだが、南がわの中央広場の周りの市場はつぶれ…

「デカポリス新聞」紀元28年〇月〇日号

「昨夜、ガリラヤ湖は激しい嵐に見舞われた。わが社の記者が目撃者から得た情報では、2隻の舟が対岸のガリラヤから漕ぎ出して来たが、大波のため一晩中接岸できず、明けがた不思議な凪(なぎ)になり、10人あまりのその一行は無事デカポリスに上陸したという…

柔らかいリベラルな天皇と、安倍総理の固い保守

8月15日の敗戦70年・戦没者追悼式での「天皇のことば」と、安倍総理の「70年談話」は基本で違いました。天皇が自分の思いで「さきの大戦に深い反省」を述べたのに、総理は「侵略」「植民地支配」「反省」を、従来のことばの引用で語ったからです。 つまり、…

「明治生まれ」が「大正生まれ」を戦場に

きょう2015年8月15日は、70年目の敗戦記念日です。70年前のきょう終わったあの戦争は「明治生まれの政治家・官僚・高級参謀」が「大正生まれの若者」を殺した戦争でした。いままた戦争を知らない「昭和生まれの政治家や防衛官僚」が「平成生まれの若者」を戦…

自分はいいことしながら他人を批判する心

自分はとてもいいことをしながら、それをしない、ほかのかたが気になるのがわたしたちです。 教会の日曜礼拝の時間に、けっして遅れない人がいました。そのかたは郊外から1時間あまりもかけて夫婦でおいでになります。いっぽう毎回礼拝に遅れるかたがいまし…

主イエス・キリストへの集中

わたしが国立国会図書館をやめて伝道者になったとき、あるお歳を召した女性が「いい『おしもべさん』になられるでしょう」と言ってくれました。そのキリスト同信会という集会は、わたしの父が出ていた集会で、わたしは酒枝義旗という無教会系の待晨集会にい…

国立国会図書館調査局で働いて

7月6日(月)の朝日新聞・朝刊に「書庫に差す真理の光」という1ページの国立国会図書館紹介記事が載りました。 そこには、巨大な地下8階の新聞・雑誌書庫や、蔵書が東京本館だけで2632万点とかが紹介されています。そして閲覧者の貸し出し大カウンターの上の…

キリストを信じるさまざまな道筋

「だめだなあ、おれという、人間は」(タライポーロス・エゴー・アンスローポス)とパウロは嘆きました(ローマの信徒への手紙7・24)。「こういう痛切な回心を経験しなければ、ほんとうのキリスト信仰ではない」という人がいます。そんなことはありません。…

マニラの「日比聖書教会」と横川知親牧師

さきごろ、フィリピンから「日比聖書教会」の横川知親(よこがわ・ともちか)牧師が、わが家をたずねてこられました。六五歳。もう三五年もマニラを中心に、現地に溶け込んだ伝道をされています。 彼に英会話を教えた米国宣教師が、溺れる二人の日本人を助け…

四谷の鯛焼屋と老舗教会

この暑いのに四谷で「若葉」の鯛焼きを買いました。四谷で降りると寄りたくなる店です。ここは人形町、麻布十番とならび「東京三大鯛焼屋」の筆頭として有名です。 「若葉」は店の宣伝をしません。店の前の看板以外案内板もありません。四谷駅から広い新宿通…

かけ集まる集会、かき集める集会

「特売」と広告してお客を「かき集める」スーパーもあれば、黙っていてもお客が「駆け集まる」スーパーもあります。「特別伝道集会」と銘うって聴衆を「かき集める」教会もあれば、黙っていても人々が「駆け集まる」教会があります。 人はあんがい実力と中身…