日本の国立の建物にギリシア語の聖句

shirasagikara2013-12-16

12月13日。永田町の国立国会図書館で、65年つづく聖書研究会のクリスマスに招かれた。あのギリシア語の「Η ΑΛΗΘΕΙΑ ΕΛΕΥΘΕΡΩΣΕΙ ΥΜΑΣ」(へ アレエセイア エリュセロウセイ ヒューマス・真理が君たちを自由にする)」とも対面した。本館2階図書貸出し大カウンター右上に彫られている。
左上には初代館長・金森徳次郎の筆で「真理がわれらを自由にする」と彫ってある。国立国会図書館法前文に「国立国会図書館は真理がわれらを自由にするという確信に立って、、ここに設立される」とあるからだ。この前文は羽仁五郎の発案。そこでは「真理が<君たちを>」でなく「<われらを>自由にする」になった。だから両方がわかる方は違いに気づき驚く。わたしはこのことにかかわった最後の証人として、のちのためにもう一度その事情を13日にも後輩に話したし、またここに書き残す。
1958年、ドイツ大使館跡の国立国会図書館本館建築工事も完成に近づいたころ、建築施工の建設省担当者が、大カウンターの左上に日本語で館長の字が入るなら、釣り合い上、右に横文字を入れてはと提案したという。
当時、国立国会図書館に建築部があり、吉田辰夫部長は聖公会のクリスチャン。その下の工務課に設計担当の佐藤仁君がいて、図書館聖書研究会会員。吉田部長はすぐ同意し、佐藤君は、三宅坂庁舎(元・参謀本部、現・憲政記念館)のわたしの部屋へ駆け込み「藤尾さん、ヨハネ伝8章32節の『真理が汝らを自由にする』をギリシア語の大文字で書いてください」と息弾ませて頼んだ。
わたしは言われるままに、手元のギリシア新約聖書は小文字なので注意して大文字に直した。そのさい<われら・ヘーマス>と、<汝ら・ヒューマス>の違いが気になったが、とっさのことで、もともとこれが原文だという思いがあり、聖書訂正の勇気もなく、原文のままで渡した。これがあの聖句が彫られた経緯だ。日本の国立の建物でギリシア語の聖句が彫られているのはここだけではないか。これを刻ませられた大いなる力をおもう。
「あなたたちは真理(キリスト)を知り、真理はあなたたちを自由にする」(ヨハネ福音書8・32) <写真の右上にギリシア語が、左奥に日本語で彫られている>