男系、女系、天皇制

9月6日、秋篠宮紀子妃に男子誕生。まずはめでたい。
これで女性天皇への道をひらく「皇室典範」改正論議は下火だ。しかし天皇を男子に限る今の制度はもろさが残る。なぜなら旧皇室典範1章4条は、皇后の嫡子のほかに側室の庶子も認め、それで成り立っていたのに、今は一夫一婦だ。
イギリスでは、女王の時代に大発展をした。16世紀のエリザベス1世と、19世紀のヴィクトリアだ。一つの時代をその名前を冠して呼ばれるのは、この二人の女王だけだ。
ユダヤ人は女系でつづく。たとい父親がユダヤ人でも、母親がユダヤ人でなければ、その子はユダヤ人ではない。日本も天皇制をつづけるなら、やがて女系天皇も認めざるをえないだろう。
そして今の天皇家が、聡明で、つつしみ深いだけに、非人間的な生活を強いられる姿は気の毒だ。天皇には定年がなく余生を楽しめない。天皇家には戸籍や、住民登録がないから、紀子妃に子が生まれても母子手帳もない。信教の自由もなく、参政権もない。外出の自由も制限される。結婚も皇族男子は皇室会議の承認がいる。固い天皇制の枠の中で、天皇一家はさぞ息苦しいことだろう。
きのうから、テレビは「秋篠宮紀子妃・男子誕生」に沸く。しかし天皇家を包む天皇制の殻は固い。そして固いものほどもろくなる。もちろん、天皇制も永遠ではない。
「しかし、王位は移って弟のものとなりました」(列王記上2・15)