2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

美しい日本の形

「美しい日本へ」を掲げて安部内閣が船出した。これで日本はたしかに右へ振れる。 安倍総理は教育基本法の改正から始める。そのねらいは「国と郷土愛」。つまり愛国心の高揚。内村鑑三は「いまやわが国に恥ずかしき名あり。その一は愛国者。その二は基督者。…

じっこんになった12使徒

10年ほど前、ニューヨークの美術館で、並び立つ漆黒の12使徒に魅せられ、またしてもその前へ引き返し、見つめ、こんな群像を彫りたいと願った。 志を持ち、願いつづけ、準備をしていると、主が「さあ」と戸を開いてくださる。 まず太い木の根を求めた。する…

無音の音、アシュラム

「ちいろば先生」こと、榎本保郎牧師が提唱された「アシュラム」の会に出たことがある。 まず教えられたのは、聖書に聴くという態度だ。自分が聖書を読むのではない。聖書が語りかける主の声を聴くのだ。そのために沈黙する。この沈黙、瞑想は、その人の精神…

宮廷料理と日本の公家さん

いまNHKで二度目の放送をしている韓国ドラマ「長今(チャングム)」で、韓国の宮廷料理には目を見張る。日本は平安以来1000年の宮廷の歴史があるのに、イギリスとともに宮廷料理がない国だ。 日本の宮廷は文学には優れたが、料理は大名や武士とともに質素…

結婚 迷いと愛と信頼と

彼岸もすぎ、暑くも、寒くもなく、秋の結婚シーズンがはじまる。 これまで9組ほど結婚のお世話をした。うれしいことに一つも離婚はない。各地の家庭集会で泊めていただくと、その家庭の事情がわかる。子どもの結婚の世話を頼まれる。そして結婚の運びになれ…

最初のひと口と、50年の味

最初のひと口は、どうしてこんなにおいしいのか。 出されたメロンをスプーンでひと口ふくむ。唇と歯と舌のあいだを走る果汁の甘さ。焼きたての蒲焼の焦げた皮と白い身と、たれの利いためしを、箸でひと口挟んだ舌を焼くうまさ。渇いた喉にビールが流れる最初…

升田名人とイエスの核心力

わが家から歩いて数分のところに小公園がある。将棋名人・升田幸三と、もう一軒の屋敷あとを区立公園にしたものだ。 その名人一家と、阿佐ヶ谷から満員バスでいっしょになったことがある。あのひげづら和服袴姿の名人と、わたしとのあいだに、小学生の坊ちゃ…

国旗・国歌の強制違憲判決

9月21日、東京地裁は東京都教委に対して、国旗、国歌の起立、斉唱を強制するのは憲法19条、教育基本法10条違反との判決を出した。 東京都教委は、日本一悪い教委だった。全国の卒業式で、これまで良心に随い、起立、斉唱しない教職員が、471名懲戒処分された…

彼岸花咲く

どうして彼岸花はこの日がわかるのか。9月21日、彼岸の入りに庭に立つと、そこここに、彼岸花が咲き始めている。 彼岸花では恥ずかしい思い出がある。荻窪の政池仁先生をたずねたとき、「彼岸花は春の彼岸にも咲きますよね」と言うと、先生驚いて「ユキエ、…

「新宿」「信じゆく」

東京・山手線の駅名を茶化した呼びかたがある。「原宿」→(腹すく)。「渋谷」→(渋茶)。「恵比寿」→(エビス・ビール)。「目黒」→(まぐろ)。「五反田」→(ごはんだ)。「大崎」→(お〜酒)。「品川」→(品切れ)。だれが考えたか、うまい。 「腹はスキ…

棒読み説教・福音が泣く

きのう衆議院副議長が、頼まれた祝辞に周到な準備をされた話を書いた。地位の高い、話しなれたかたでも、こう努力される。 わたしは教会の牧師が、原稿棒読みの説教をすると聞くと、胸がいたむ。教会の長老までも、書いた祈りを読んでいると聞き、耳を疑う。…

副議長も机もおなじこと

あさ出勤すると、いきなり衆議院副議長の秘書から10時に部屋へ来るように。聞きたいことは「仏教」との電話。40年まえだ。 当時わたしは国立国会図書館調査局文教課長。キリスト教ならいくらかわかるが、仏教には参った。そこで先輩同僚のS政治行政課長に同…

夢のようなはなし

娘が病院から外泊のゆるしをうけて、土、日、わが家に来た。夢のようなはなし。 なにしろ、くも膜下出血で緊急入院したさい、レントゲン検査ではとても手術できる状態ではなかったという。あとで別の脳外科医がそのレントゲンを見て「よく手術したね」と言っ…

岡崎「純情きらり」集会

NHK朝のテレビ小説「純情きらり」も終盤だ。おもな舞台は愛知県の岡崎市。三人姉妹が家族愛のきずなで結ばれ、昭和の戦前、戦中、戦後を生き抜く物語り。 岡崎は名古屋から名鉄特急で30分。徳川家康生誕の城下町。八丁味噌屋はそのお城から八丁(800m)…

格差社会と簡素な生活

まもなく5年半の小泉総理の時代が終わる。彼の功績もあった。「自民党をぶっ潰す!」と叫び、派閥順送りの閣僚選任をやめたこと。銀行の不良債権処理の目鼻をつけたこと。道路公団の談合や公共工事にメスを入れたこと。是非は別として郵政民営化を断行したこ…

104歳の母

14日あさ、小雨のなかを今年も田中大輔・中野区長が、母へ敬老のお祝いにおいでくださった。100歳以来5回目だ。100歳記念に「藤尾貞子 百寿バンザイ」を出版したところ、それを見て台湾から「第1回・全国老人照顧研習会」に100歳の日本代表として招かれ、台…

浅い流れは音がたかい

岡山県にいられた河野進という牧師さんの詩に、「浅い流れは音がたかい/わたしの/祈りよ/言葉よ/行いよ/音がたかくないか/深い流れは音をたてない」というのがある。 あるとき、新約聖書の「マタイ福音書」5章の、有名な「ああ幸いだ」を読んでいて、音がし…

頑張らないで一所懸命

「がんばらないで いっしょけんめい」と葉書を出したら、どんな意味かと聞かれた。 「がんばる」は、自分の眼(がん)を大きくひらいて見張ることだが、頑強に同じ場所から動かない、自分の意思を貫く態度だ。つまり固い「自分」がそこにある。 あるとき韓国…

沈黙の使徒・マタイ

12使徒群像を彫っている。きのう今日、マタイをいじった。両手に巻物の「マタイ福音書」をもたせ、正面中段右端に立たせる。その右肩にうしろから、ヨハネが左手を載せる。人物群像は、顔はもちろんだが、手をどうするかが難しい。 そのマタイは聖書の中で沈…

NYで殴られた坊ちゃん

9・11から5年たちました。あのニューヨークの同時多発テロは、大富豪の坊ちゃんが、いきなり出てきた暴漢に、ガーンと顔を殴られたようなものです。 これまでチヤホヤされた坊ちゃんは、びっくり仰天うろたえて、「殺してやる!」と叫びました。ふつう殴られ…

イエスを福音した

「問題な日本語」という正続2冊本をもらった(大修館)。北原保雄・前筑波大学長の編さんだ。 気になる日本語をとりあげ、どうして使われるようになったかを説明する。 たとえば「きもい・きしょい・うざい」。きもい→気持ち悪い。きしょい→気色悪い。うざい…

日々是好日

ぐっすり眠って、眼がさめて、頭を洗って、髯(ヒゲ)剃って、賛美歌歌って、祈りして、朝めし食べて、うがいして、聖書を読んで、墨すって、葉書を書いて、鼻かんで、母を見舞って、話しして、お前耳が遠いと笑われて、部屋に帰って、茶を飲んで、パソコン…

男系、女系、天皇制

9月6日、秋篠宮紀子妃に男子誕生。まずはめでたい。 これで女性天皇への道をひらく「皇室典範」改正論議は下火だ。しかし天皇を男子に限る今の制度はもろさが残る。なぜなら旧皇室典範1章4条は、皇后の嫡子のほかに側室の庶子も認め、それで成り立っていたの…

エスカレーター方式

JRでも私鉄でも、エスカレーターやエレベーターがずいぶんふえた。老人や乳母車や車椅子の方、それに大荷物を持った人などは助かる。 東京ではエスカレーターは左側に乗り、急ぐ人は右側を歩く。大阪では右側に立って、左側を駆け上がる。ただ東京でも大阪…

天国と極楽

「極楽」の文字が、新聞・放送など日本のメディアから消えて久しい。替わって登場したのが「天国」だ。極楽はどこへ行ったのか。これは仏教信者の極楽信仰があやふやなあらわれではないか。 「サザエさん」が鋭い4コマ漫画を画いた。第1コマ「坊さんがサザエ…

失敗国家、失敗人生

9月3日の「朝日新聞・時時刻刻欄」に「失敗国家」の記事が世界地図入りで出た。珍しい表現だ。米国ハーバード大学・ロットバーグ教授の説で、経済、安全、人権など12の指標を使い分析している。つまり政治や治安がぐらぐらしている国家だ。 驚くのは世界中が…

すごい人 ふつうの姿

すごい人が、すごい場所ですごいことをする。しかも人とは違う服装をし、ふつうでない食べ物を食べる。これはすごい力のある人にとっては、なんでもない当たり前のこと。 しかし、すごい力のある人が、ふつうの場所で、ふつうの服装をして、ふつうの食べ物を…

雅号・ペンネーム

わたしの父の本名は「藤尾栄治」。しかし「英二郎」と自称した。7人兄妹の次男で、兄が夭折したため、英二郎にしたらしい。だから旅券や死亡届けなど正式書類は「栄治」で、息子でもまごついた。 それに裏千家茶道では「宗羊」と名乗り、また「讃羅逗庵」と…

励みなさい、ハゲ見なさい

わたしの父は「つるっぱげ」だ。若いころ6回も腹膜炎の手術をしたのが原因らしい。30歳ころから薄くなり、50歳ではほとんど髪の毛がなかった。 ある日、床屋の椅子に座ると「ダンナ、どこをやります」「全部やってくれ」。自尊心を傷つけられたのか、以来、…

日本の七奪

9月1日は1923年の関東大震災記念日だ。その激震のあと「朝鮮人が暴徒化して井戸に毒を入れる」というデマが流され、多数の朝鮮人が犠牲になった。 その3年半まえ、朝鮮半島で「3・1独立運動」がぼっ発し全半島に波及。抵抗は半年以上つづいた。逮捕者数知れ…