2010-01-01から1年間の記事一覧

キリストにつつまれる

キリスト信仰は、わたしたちがキリストをつかむのではありません。すがりつくのでもありません。逆です。キリストが、わたしたちをつかんでくださっている。そのことがわかることです。気づくことです。わたしたちが、キリストにすがりつき、つかんでいるの…

皇居1周ランニングの魅力

12月18日(土)、日本(読売)テレビの取材をうけた。いま皇居のまわりを走る人々はたいへんふえ、混雑するほどだという。地方からも参加し、なかにはホテルに泊まって皇居1周するツアーまである。その皇居1周ランニングの草分けが、わたしの勤めていた国立…

どんどん変わる、みるみる変わる

「いまの『パソコン』は近くなくなる」と聞いて驚いた。「『携帯電話』や『iPad』が進んだ姿の中に、やがては吸収されるでしょう」。なるほど。パソコンの前は『ワープロ』だった。それが高機能のパソコンが出てきてワープロも吸収し、自分の手元で多彩なプ…

平たい枝と工兵隊と十字架

わが家の門のわきに、赤い花が咲くハナミズキがある。それに平たい枝があるのだ。ふつう枝は丸いのにそれ1本の途中が左右にひろがり、裏は塀に沿って平たい(写真)。ハナミズキがその枝をのばした先がわるかった。ちょうどコンクリート塀の角だった。きっと…

いそちゃんに会って

11月26日(金)。日帰りで宮城県の「いそちゃん」に会ってきた。近年はゆくたび、すこしずつ衰えている。あたりまえだ。もう88歳。主人の勝衛さんは8帖の部屋にもちこまれたベッドの上だ。去年はたたみに敷かれたフトンに座って聖書の話を聞いた。もう90歳。…

「坂の上の雲」を観る、読む

司馬遼太郎の「坂の上の雲」を、NHKが再放送している。ダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」のときもそうだったが、原作を読むのと、映画やテレビで観るのとはちがう。いずれも長い長い小説を短い画面にちぢめるのだから、やむをえないとはいえ、話の筋…

そうだったのかイエスの福音

ジャーナリストの池上彰の「そうだっ たのか、学べるニュース」が評判です。いま懸案の問題を、快刀乱麻を断つようにみごとにさばき、「深い内容をわかりやすく話す」のです。 イエスさまも「深い内容をわかりやすく話す」名人でした。「あなたを伝道者にす…

イエスさまのお顔

わたしは昨年まで六年かけて「十二使徒群像」を彫りました。そのさい使徒十二人それぞれの表情に彫りましたが、イエスさまの顔は、おそれおおくて彫れませんでした。しかし聖書を読めば想像はできます。 いちばん最初に、イエスさまの顔があらわれるのは、ベ…

北緯35度の線上、藤原良経の時代の線上

毎日、墨を磨って小倉百人一首を書いています。きょうは、第九一番・藤原良経(一一六九ー一二〇六)の作です。 「きりぎりすなくや霜夜のさむしろに衣かたしき独りかも寝む」。 「きりぎりす(こおろぎ)が霜の降る夜に床下で鳴く。寒い筵に着物の片袖を敷…

クリスチャンは「矢」だ

左手のことを「ゆんで」という。「弓手」のことで、弓は左手で握るからだ。「ゆんで」の反対が「めて」だ。右手のことで、馬の手綱(たづな)を右手であやつる「馬手」が起こりだ。そして矢を射るときは、弓の弦(つる)に矢をつがえ、「ゆんで」で弓を押し…

85歳の朝の10分運動

右にも左にも、友人が体の不調を訴えるなか、「85歳の朝の10分運動」をご披露するのはちと気が引けるし、仙崖和尚の「老人六歌仙」にもあるとおり「(老人の)達者自慢に人はいやがる」ことも承知の上で、30年来の習慣を自身の85歳の記録のために記す。 朝食…

一極集中型のイエスの伝道

これまでわたしは、イエスの伝道は「狭いガリラヤで」と考えてきた。しかし、ほんとうはもっと狭かった。 イエスの活動を地域別にみると、「ガリラヤ一帯」と、北の「フェニキアやヘルモン山あたり」、それに南の「ユダヤとエルサレム」の三ヵ所だ。内、主な…

国会議事堂を歩く

9月27日、久しぶりに国会議事堂の中を歩いた。「議事堂といえば」、わたしが人生のスタートを切った建物。1947年4月、まわりは空爆で瓦礫の中、そびえる議事堂に入り、重厚な参議院議長応接室で面接試験をうけた。5月、配属されたのが参議院調査部だ。貴族院…

「万年筆」と「バイブル」

ドイツの「モンブラン」製の万年筆を多年愛用している。もう35年もまえ、わたしが国立国会図書館を辞めて伝道者になったとき、そこの聖書研究会の重鎮・吉田正夫さんから贈られた。極太(ごくぶと)で書きやすい。いただいたあと、伊勢丹デパートで同じもの…

不思議なイエスさまの伝道方法

イエスさまは不思議なお方。その伝道がふつうの宗教家とちがいます。 「ガリラヤ中の会堂に行き、宣教し」(マルコ1章)とありますが、そのガリラヤは、日本でいえば静岡県の熱海市と沼津市に線を引き、その南の伊豆半島くらいの狭い地域です。どうしてロー…

キリストに留まる

「停車」と「駐車」はちがいます。「停車」は、ちょっとそこに車を止めても、またすぐ移動します。「駐車」は、たとえば駐車場に留まりつづけることです。「信じる」と「信じつづける」もちがいます。「信じつづける」のは、「信じる」状態がず〜っとつづく…

ああ楽しいかな、イエスを信じる者の余生!

近くの図書館で、芥川賞作家・絲山秋子の「北緯14度」(講談社・2008年)を借り出して読んだ。アフリカ西海岸のセネガルに2ヵ月住んだ紀行文だ。フランス語や現地語で、セネガル人と深く交わるが、その交わりは「言葉じゃないんだ」ということを学ぶ。「短い…

蝉の羽化、信仰の羽化

酷暑の八月もおわる。庭で蝉が鳴く。しかし東京の蝉の声は弱々しい。数年まえ、隠岐島で鼓膜も破れるばかりの蝉の大合唱を聞いた。なんと樹々の一本一本に数百匹の蝉が群れ重なり鳴いていた。 「後鳥羽院隠岐幽囚の火葬塚蝉八百年鳴きやまぬかな」(正人)。…

酒枝義旗の弟子

矢内原忠雄先生を、自由が丘のご自宅にたずねたことがある。1948(昭和23)年秋のこと。用件は、その春、赤坂離宮に創設された国立国会図書館の調査局に勤めていたわたしに、参議院の高良とみ議員が、満州事変以来のキリスト教迫害調査を頼まれたからだ。(…

「へとへとの敗戦」からの日本

「われ八十五はたちの夏ぞ国敗れ」(正人) 六五年前の一九四五年八月一五日、日本は連合軍に降伏しました。それは「へとへとの敗戦」でした。日本全国二三〇ほどの都市が空襲で焼かれ、五〇万人の市民が死にました。日本には米国のB二九爆撃機を迎え撃つ戦…

船舶隊の遭難訓練

小学1年生の夏、浮き輪に乗って海に浮かんでいたとき、近くのワルガキに沈められ、水を飲んだ恐怖感から、小学校卒業まで泳げなかった。中学1年で泳げない者は赤い帽子をかぶせられ、すごく恥ずかしかった。 そこで発奮して浮く練習をした。浮くためには、い…

ねじりこんにゃく2段ひねり

ふつう、こんにゃくの長さは15センチ。それを3等分に切る。その5センチ幅の切り口を下にして立て、また3つに薄切り。その長めのほうをタテに8つか、9つに切りわける。すると細長い短冊型が山盛りできる。そこへ切り込みを上下に「2つ」入れる。いわゆる「ね…

億の巨匠・非凡なる凡人

「億の巨匠」ということばを知ったのは、西平直喜著「偉い人とはどういう人か」(北大路書房)を読んだときだ。 この本は内外の伝記資料を読み解き、偉人といわれる人の多面性をあぶりだすが、同時に平凡な人々の中にある非凡さにも注目する。それが宮沢賢治…

キリスト信仰と俳句

宮脇白夜(はくや)の第7句集「聖燭」が、白夜の帰天1周年を記念して由利夫人により刊行された。白夜はれっきとした俳人だ。「降る雪や明治は遠くなりにけり」などの名句で「昭和の芭蕉」といわれた中村草田男に師事したが、近い血縁でもあった。彼は草田男…

凌霄花とアリの道

わが家の門の脇に咲く凌霄花(のうぜんか)が満開だ(写真)。道ゆく人も見上げる。先年、ふと見ると、家のまえの道に、カンバスを置き、折りたたみの椅子に座って、凌霄花をスケッチされる女性がいた。聞けば、きのうもスケッチされたという。狭い道だ。車…

「聖書を語る牧師」と「福音を語る牧師」

「病気を診る医者」と「病人を診る医者」はちがいます。「教科書を教える教師」と「生徒を教える教師」もちがいます。「聖書を語る牧師」と「福音を語る牧師」もちがいます。 昨年一一月すえ歩くと息苦しくなり、近くのキリスト教病院で診察を受けました。「…

几帳面な日本人

日本語に「几帳面」(きちょうめん)ということばがあります。ところが中国語にも、韓国語にもないのです。 これは一〇〇〇年前の源氏物語絵巻によく描かれる几帳が語源です。可動式ふすまのようなもので、几(き)は物をのせる台、帳は「とばり」で、垂れ下…

今あなたは微笑んでいますか

河野進詩集「今あなたは微笑んでいますか」を、あるかたが送ってくださったとき、わたしは河野進先生の詩は大すきだけれど、「いやな題名だ」と、そのとき開きもしなかった。 まるで、クリスチャンなら、いつもニコニコポンポン、微笑んでいなければいけない…

白い蝶と雪ノ下とイエス

ぬれ縁にすわっていると、2羽の白い蝶がもつれるように、上になり、下になり、庭をかけめぐる。やがて1羽が飛びさった。のこりの蝶は高く低く、どの花にとまるでもなく舞いつづける。とまるべき花の品定めをしているようにも見えた。それはわたしの膝近いシ…

ユグノーのように正直な

「ユグノーのように正直な」ということわざがイギリスにあることを、須永隆著「プロテスタント亡命難民の経済史ー近世イングランドと外国人移民」(2010年刊、昭和堂)で初めて知った。 ユグノーは、16世紀のルターの宗教改革後、フランスに生まれたプロテス…