2013-01-01から1年間の記事一覧

殺しに来て殺された者を祀る靖国神社

12月26日、安倍総理が靖国神社に電撃参拝した。中国、韓国の反発だけでなく、オバマ政権も不快感を示した。小泉総理の靖国参拝以上に深手を負うのでないか。 靖国神社は、今年のNHK大河ドラマ「八重の桜」で有名になった、会津激戦などの戊辰戦争で死んだ…

東の学者たちの二度の改宗

「マタイ福音書」2章に「東から来た学者たち」の話があります。彼らは毎晩、地平線と星だけを見つめました。北極星を始め整斉と運行する星座。これは大いなる唯一絶対の神が存在しなければありえないと考え、一神教の神さまがすとんと分かました。多神教から…

日本の国立の建物にギリシア語の聖句

12月13日。永田町の国立国会図書館で、65年つづく聖書研究会のクリスマスに招かれた。あのギリシア語の「Η ΑΛΗΘΕΙΑ ΕΛΕΥΘΕΡΩΣΕΙ ΥΜΑΣ」(へ アレエセイア エリュセロウセイ ヒューマス・真理が君たちを自由にする)」とも対面した。本館2階図書貸出し大カウ…

わっと攻めて、さっと引揚げる日本

一二月八日といえば、日本のハワイ「奇襲攻撃」の日だ。日本民族は「桃太郎」のむかし話の時代から「奇襲攻撃」で「わっと攻めて、さっと引揚げる民」だ。攻め込んでも長持ちしない。初めから長期占領・植民計画などないのだ。 一四世紀半ばから一六世紀の足…

東北新生園でいそちゃんに会う

11月28日(木)、日帰りで宮城県北端の東北新生園の鈴木磯乃さんをたずねた。50年まえ、新生園の患者は600名。うちプロテスタントのキリスト教信交会は200名を越えたが、2013年、入所者は100名を割り、毎年10名ほどが死去。信交会信徒も22名になった。厚生労…

結婚祝いの「文鎮」と「ハンガー」

60年まえ、わたしが結婚した1953(昭和28)年ころ、日本は敗戦の傷がまだ癒えず、みな貧しかった。それでも結婚祝いをいろいろいただいた。結婚式に招いた酒枝義旗先生門下の6人の友人(市川昌宏、石原義盛、井崎昭冶、内田英冶、佐藤陽二、鈴木皇)から柱時…

神さまが顔を磨かれる

一一月四日。近くの福音ルーテル武蔵野教会のバザーにでかけました。ずらりとならぶ売店、模擬店。たいへんなにぎわいです。それに売り子になった教会のおばちゃん、おねえちゃんたちの笑顔がいい。おしなべて柔和です。内からにじみ出る喜びが表情に出るの…

浜谷不二の詩集

「主よ みたまによって歩けません 主よ みたまによって祈れません 主よ 信仰ありません では何があるのですか 導くという約束だけです」 「主よ 私は一皮剥けば 見栄がでてきます 二皮むいたら うぬぼれがでてきます もう一つ剥いたら 自己愛が出てきました …

藤尾正人の「福音口上」<ありがてぇや イエスさま>

知らざあ言って聞かせやしょう いまを去ること2000年 ユダヤの都エルサレム その郊外の丘の上 罪なきイエス・キリストが 木の十字架に釘つけられ 罪そのものとなりたまい 「わが神、わが神、なぜわれを、すてられたのか」と叫んだあと 「一切完了」とつぶや…

みんなお出でよ イエスさまに

みんなお出でよ イエスさまに 泣いていないで 早よおいで 迷っていないで 早よお出で 来てみりゃわかるよ イエスさまが どんなに悲しい人だって どんなにつらい人だって イエスさまに会えば わかるんだ イエスさま柔和で いばらない 叱られないし どならない…

結婚の条件//結婚60年

むかし扇谷正造という朝日新聞の大記者がいた。わたしが国立国会図書館調査局にいたころ、同室隣席の上司・関口隆克先生の友人で、ときどき部屋に見えた。「週刊朝日」の名編集長をへて論説委員をされていたころだ。いがぐり頭で気さくな方だった。あるとき…

88歳・朝めし前の柔軟体操

きょうは体育の日。自己流の運動をつづけて30年。以前ご紹介したがメニューもいくつか更新したので、88歳の朝めし前の柔軟体操をご報告しよう。仙崖和尚の「老人の達者自慢に人は嫌がる」を承知の上で。 1)畳に座り右足裏を左のももに、左足裏を右のももに…

湖畔のイエス、五つの「なぜ」

「マタイ福音書」14章に、ガリラヤ湖でのイエスと弟子の物語りがしるされる。そこに5つの「なぜ」がある。 第1は、なぜイエスは急いで弟子と群衆を分離されたか。第2は、なぜイエスは一人祈られたか。第3は、なぜイエスは湖上で嵐に悩む弟子を救いにゆかなか…

「小さいから大きい」オランダ

このごろイエスが言われた「あなたがたみんなの中でいちばん『小さいものこそ大きい』のである」という形容矛盾の言葉を考えています。 三つの立場があります。まず「小さいものは小さい」という考え(これは現状肯定です)。つぎは「小さいのに大きい」(こ…

小さいから、大きい

このごろイエスが言われた「小さいから大きい」という形容矛盾の言葉を考えている。 三つの立場がある。まず「小さいものは小さい」(これはあるがままを認める現状肯定)。つぎは「小さいけれど大きい」(これは大きいことに価値を置いている)。さらに「小…

キリストの「上書き保存」

きょうは「敬老の日」。米寿も過ぎると、むかしのことが懐かしい。国立国会図書館調査局にいたころ、200字詰の原稿用紙にやたらと調査報告を書いた。書くのは好きだった。積み上げれば天井に届くほど。だれしもGペンというペン先を、ペン軸に差し込み、イン…

復讐の倍返し、恵みの100倍返し

テレビドラマ「半沢直樹」が大評判。2013年9月第1週の視聴率は東京も大阪も30%でトップだ。大手銀行員の彼が、上司の理不尽な締めつけに「やられたら、やり返す。いや倍返しだ」と凄んで実行し喝采を浴びている。しかし人間の復讐ほどコストが高くついて益…

見知らぬ青年の来訪

ある日、見知らぬ青年の来訪を受けた。その年の3月末日だった。聞けば、その日、彼は早稲田大学理工学部建築学科の大学院修士課程を終えて、あすから民間の建築会社に就職するという。来訪の理由はこうだ。 彼が早稲田の建築学科に入ったとき、父親から、上…

祈った者より、祈られた神が

「フランクリン自伝」(岩波文庫)によると、「金を貸して」と頼んだ人より、頼まれた人のほうが、その返済期日をよく覚えているという。借りた人は金を手にして喜び、返済はずっと先と一安心するが、貸したほうは確かに返すかと「返済のこと」が気になるか…

「こんなもんでしょう」から「まさか」へ

「まあ、こんなもんでしょう」が口癖の人がいた。「きょうは猛暑ですね」「まあ、こんなもんでしょう」。「寒いね!」「まあ、こんなもんでしょう」。これではにべもない。感動がないからつまらない。ただ暑さ寒さも喜怒哀楽さえも、ありのままに受け入れる…

69回目の敗戦記念日・老兵の回顧

「われ米寿はたちの夏ぞ国敗れ」。1945年8月15日。暑い夏の正午でした。天皇の玉音放送を聞いたのは香川県西北端の岬の浜辺でした。当時わたしは四国の陸軍船舶幹部候補生隊にいて、その前日、香川県豊浜を敵前上陸用舟艇で出航し、広島県鞆の浦までの夜間無…

イエスの弟子教育。フィリポとアンデレ

1946年(昭和21)7月の終わりだった。わたしは浅田正吉先生に勧められ、大阪・中之島公会堂で開かれた矢内原忠雄先生の講演会に出た。満堂の聴衆。その日、岡山から来られた先生は、満員列車に入口から乗れず窓から入ったとのこと。話の中身は「5000人のパン…

「紙上の教会」と無教会運動

赤江達也著「『紙上の教会』と日本近代ー無教会キリスト教の歴史社会学」(岩波書店・2013年6月刊)を読んだ。読み応えのある本格的無教会史でもある。日本の敗戦後、無教会が勢いづいた時代、鑑三の弟子の藤井武の弟子・酒枝義旗先生や、鑑三晩年の弟子・政…

この土台はイエス・キリスト

株式会社「白洋舎」本社が、来年夏、渋谷から大田区下丸子の東京工場隣接の新設地に移転する。7月19日(金)その新本社起工定礎式があった。式で鍬入れのさい定礎箱に聖書も入れた。その聖書に揮毫を頼まれ、わたしは「この土台は、イエス・キリストである」…

「インターネット聖書ばなし」の韓国語訳

韓国から「ソンソ・シネ」(聖書信愛)誌四冊(二〇一三年・四〜七月号)が贈られてきた。わたしの「インターネット聖書ばなし」が、「ハラボジエ ソンソ イヤギ(おじいさんの聖書ばなし)」と題して連載中だ。 翻訳者は金福礼(キム・ポンネ)さん。ソウル…

アブラハムの「無名のしもべ」

国立国会図書館にいたころ、当時米国議会図書館に派遣されていた同僚の萩原延寿の報告で、図書館員の大事な資質は「無名に留まる意志」(Willingness to be anonymous)だと知った。利用者に奉仕して裏方に徹する態度だ。こういう人が多い社会や国家は健全だ…

米国製「孫の手」かゆいところに手が届くイエスのことば

以前にも書いた北朝鮮の民話。若くして主人に先立たれた女性が、苦労して7人の男の子を育てた。しかし長男は、時々母が深夜に家を抜け出すのに気づく。つけてゆくと母は橋のない小川を、チマ(スカート)をたくりあげて渡り、対岸の小屋に消えた。長男が忍び…

イエスさまが笑った「この者、見込みあり」

聖書にイエスが泣かれた記事はあるが(ヨハネ11・35)、笑われた記録はない。しかし「イエスは喜びにあふれて」とある(ルカ10章)。喜びにあふれるとき、その人の表情はゆるみ笑顔になる。イエスも笑われたのだ。エルサレムの資産家の青年が、「永遠の命を…

敵将を味方の大将に変身させたアナニア

アナニアという人物は、聖書の中ではあまり有名ではありません。「使徒言行録」の、使徒パウロ大回心の9章にちらっと出てきます。シリアのダマスカスにいたアナニアには、パウロは恐るべき敵将でした。ユダヤの宗教権力者から、キリスト教撲滅の委任状を受け…

「神殿キリスト教」と「無神殿キリスト教」

「使徒言行録」8章には不思議なことばがしるされています。「その日、エルサレムの教会に対して大迫害が起こり<使徒たちのほかは皆>ユダヤとサマリアの地方に散って行った」。 ふつう権力による宗教弾圧はリーダーから始めます。ところが原始キリスト教で…