2015-01-01から1年間の記事一覧

昭和天皇と、いまの天皇と、わたし

いまの天皇が誕生された昭和8年(1933)12月23日、わたしは小学校3年生でした。先生から、きょう皇子誕生なら歩兵の練兵場で大砲が1発、皇女なら2発鳴ると聞かされました。やがて大砲が1発とどろいたのです。耳をすましていても2発目は鳴りません。教壇の先…

同じ話をまた聴きたい

「きょうと同じ話をもう一度してください」と頼まれたことが三度あります。日本で二回、韓国で一度。 ふつう聖書の集会で同じ話は禁物です。わたしが伝道者になったとき、父・英二郎は「同じ場所で、同じ話を少なくても二年間はするな」と戒めました。偉いキ…

闇夜の海底行進の「一歩」また「一歩」

旧約聖書の「出エジプト記」14章に、海が割れてイスラエルの民衆が「闇夜の海底行進」をした記事があります。 彼らはリーダーのモーセにひきいられ、エジプト大脱走(エキソダス)の旅に出るのですが、そのしょっぱなから「迂回」(13・8)や、「引き返し」…

誓約と結婚 信仰告白と洗礼

先日、結婚式の司式をしました。新婚のふたりは、神と会衆のまえで宣誓し、「結婚誓約書」に署名しました。ふたりが夫婦の自覚を深めた「あのとき」は、生涯わすれられない「結婚記念日」になるでしょう」。 同じく記憶に残るのは洗礼を受けた「あのとき」で…

九〇歳の「五分間 結婚式・式辞」

ただいま、お読みした旧約聖書の、天地創造の神さまのことばに、「人は独りでいるのはよくない。彼に合う助ける者を造ろう」とありました。この「合う」ということば。これは「ぴったり合う」という意味です。目方を量る天秤の、こちらの皿に新郎を乗せ、こ…

宮沢賢治とクリスチャン

「雨ニモマケズ」で有名な宮沢賢治が、こんなに多くのクリスチャンにとりかこまれていたとは知りませんでした。雑賀(さいが)信行著「宮沢賢治とクリスチャン 花巻編」は、第1章「花巻の無教会」、第2章「花巻のバプテスト教会」の二本建てですが、いかにも…

バルトと歎異抄

262文字の「般若心経」は、日本人にもなじみ深いお経です。この経典は、204文字のキリスト教の「使徒信条」と共に、それぞれの信仰のエッセンスをしるします。わたしも「ぎゃてー、ぎゃてー、はらぎゃてー、はらそうーぎゃてー、ぼじそわか」と、「空即是色…

老人だから感動します

人間だれしも、これが最後の別れとおもうと、しみじみ相手を見つめるでしょう。老人も90歳になると来年生きているかどうかわかりません。何もかもこれが最後かと思うのです。だから感動することも多いのです。 この春、履きなれたズックをスニーかーに替えま…

「聖書を新聞のように」「新聞を聖書のように

「『聖書を新聞のように』『新聞を聖書のように』読め」といったのは内村鑑三だ。古い聖書のことばを、きょうの出来事のように新鮮な驚きで読み、きょうの出来事の中に、永遠の真理をつかみ取れといったのだ。それでわたしは、9月のブログを「新聞月間」にし…

「ローマ・カタコンベ新聞」紀元58年〇月〇日号

「昨夜、カタコンベ(地下墓地)でうれしい集会があった」「使徒パウロから、わがローマ教会にあてた長文の手紙を、ギリシアのケンクレア教会女性世話役フェベがたずさえて来て、その第1回の朗読会がひらかれたのだ」。 「夜ぞくぞくと集まった会衆は、老若…

「フィリピ新聞」紀元50年〇月〇日号「パウロとシラスの二人」

「けさフィリピ地方を強い地震が襲った」「本社記者の調査によると、街をめぐる城壁の中央を東西に貫く『エグナティア街道』の南がわの被害が大きいという」「街道の北に建つ裁判所や円形劇場は一部こわれただけだが、南がわの中央広場の周りの市場はつぶれ…

「デカポリス新聞」紀元28年〇月〇日号

「昨夜、ガリラヤ湖は激しい嵐に見舞われた。わが社の記者が目撃者から得た情報では、2隻の舟が対岸のガリラヤから漕ぎ出して来たが、大波のため一晩中接岸できず、明けがた不思議な凪(なぎ)になり、10人あまりのその一行は無事デカポリスに上陸したという…

柔らかいリベラルな天皇と、安倍総理の固い保守

8月15日の敗戦70年・戦没者追悼式での「天皇のことば」と、安倍総理の「70年談話」は基本で違いました。天皇が自分の思いで「さきの大戦に深い反省」を述べたのに、総理は「侵略」「植民地支配」「反省」を、従来のことばの引用で語ったからです。 つまり、…

「明治生まれ」が「大正生まれ」を戦場に

きょう2015年8月15日は、70年目の敗戦記念日です。70年前のきょう終わったあの戦争は「明治生まれの政治家・官僚・高級参謀」が「大正生まれの若者」を殺した戦争でした。いままた戦争を知らない「昭和生まれの政治家や防衛官僚」が「平成生まれの若者」を戦…

自分はいいことしながら他人を批判する心

自分はとてもいいことをしながら、それをしない、ほかのかたが気になるのがわたしたちです。 教会の日曜礼拝の時間に、けっして遅れない人がいました。そのかたは郊外から1時間あまりもかけて夫婦でおいでになります。いっぽう毎回礼拝に遅れるかたがいまし…

主イエス・キリストへの集中

わたしが国立国会図書館をやめて伝道者になったとき、あるお歳を召した女性が「いい『おしもべさん』になられるでしょう」と言ってくれました。そのキリスト同信会という集会は、わたしの父が出ていた集会で、わたしは酒枝義旗という無教会系の待晨集会にい…

国立国会図書館調査局で働いて

7月6日(月)の朝日新聞・朝刊に「書庫に差す真理の光」という1ページの国立国会図書館紹介記事が載りました。 そこには、巨大な地下8階の新聞・雑誌書庫や、蔵書が東京本館だけで2632万点とかが紹介されています。そして閲覧者の貸し出し大カウンターの上の…

キリストを信じるさまざまな道筋

「だめだなあ、おれという、人間は」(タライポーロス・エゴー・アンスローポス)とパウロは嘆きました(ローマの信徒への手紙7・24)。「こういう痛切な回心を経験しなければ、ほんとうのキリスト信仰ではない」という人がいます。そんなことはありません。…

マニラの「日比聖書教会」と横川知親牧師

さきごろ、フィリピンから「日比聖書教会」の横川知親(よこがわ・ともちか)牧師が、わが家をたずねてこられました。六五歳。もう三五年もマニラを中心に、現地に溶け込んだ伝道をされています。 彼に英会話を教えた米国宣教師が、溺れる二人の日本人を助け…

四谷の鯛焼屋と老舗教会

この暑いのに四谷で「若葉」の鯛焼きを買いました。四谷で降りると寄りたくなる店です。ここは人形町、麻布十番とならび「東京三大鯛焼屋」の筆頭として有名です。 「若葉」は店の宣伝をしません。店の前の看板以外案内板もありません。四谷駅から広い新宿通…

かけ集まる集会、かき集める集会

「特売」と広告してお客を「かき集める」スーパーもあれば、黙っていてもお客が「駆け集まる」スーパーもあります。「特別伝道集会」と銘うって聴衆を「かき集める」教会もあれば、黙っていても人々が「駆け集まる」教会があります。 人はあんがい実力と中身…

仏教寺院本堂でキリスト教の葬儀

仏教寺院の本堂で、キリスト教の葬儀の司式をしたことがあります。 1971年12月23日、名古屋で桜井錠一さんが主に召されました。74歳でした。わたしの妹、初穂の主人・桜井宣隆さんの父上です。宣隆さんは、無教会の政池仁先生の信仰の弟子でした。すでに宣隆…

ほっとしなけりゃ福音じゃない

「ほっとしなけりゃ福音じゃない」ということばが、わたしの頭にひらめいたのは、フジテレビのコマーシャル「おもしろくなけりゃテレビじゃない」を耳にしたときです。1982年(昭和57)のこと。おやっとおもいました。そうだ、キリスト信仰も「ほっとしなけ…

「奇異なる信仰」 内村鑑三の「わが事業」

いまからちょうど100年まえの1915(大正4)年、内村鑑三が「奇異なる信仰」という短文を書きました。100年たってもその文章が光っています。 「わが事業は、信者をつくることではない。聖書を講じることでもない。霊魂を救うことでもない。わが事業は、イエ…

ハンセン病の友ら偉大ぞ

4月22日(水)、いつものように日帰りで、宮城県北端の白鳥去来で有名な伊豆沼近くの「いそちゃん」に会ってきました。「みちのくの友らたずねて五十年われも老いたり磯乃も老いけり」 国立ハンセン病療養所・東北新生園は、50年前の1965年・昭和40年ころ、…

長谷川洋子著「サザエさんの東京物語」

<4月から、5日、15日、25日掲載の「5の日・旬刊ブログ」とします> 長谷川町子さんの妹の洋子さまが書かれた「サザエさんの東京物語」が、こんど文庫本(文春文庫、2015年3月刊)になりました。2008年に単行本で出たときも著者からいただき読んだは…

姫路の白鷺城・本物を見る

<4月からこのブログは、5日、15日、25日掲載の「5の日ブログ」とします> 姫路の白鷺(はくろ)城の大天守閣が「平成の大改修」をへて、2015年3月末、威風堂々とその姿をあらわしました。世界遺産の貫禄です。無名の棟梁が雄大緻密な設計図を引き、…

パウロの「不合格」が感謝に

<4月からこのブログは、5日、15日、25日と「5 の日」に掲載します> この春、入学試験に合格された方々もあれば、不合格の方たちもいられます。しかし不合格になり希望どおりゆかなかったことが、のちのちその人にとっても「かえってよかった」思い…

「一書の人」になるな

北陸新幹線が3月14日に開通し、わたしの次男一家が住む金沢まで、以前は4時間もかかったのに、わずか2時間半で行けるようになりました。金沢や富山は、これからメディアの報道合戦の渦中におかれることでしょう。 たしかに北陸には、加賀百万石といわれる金…

H.ティーリケ 著「出会いと摂理」(鈴木皇訳)の刊行

ヘルムート・ティーリケは、著名なドイツの神学者です。ヒットラーのナチス政権時代には、哲学者・ヤスパースと共にハイデルベルグに幽閉されます。この本を翻訳したのは物理学徒の鈴木皇さん。彼がドイツへ留学したさい、酒枝義旗先生のすすめで当時ハンブ…