2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

木彫・途中の楽しみ

かれこれ3年あまり木を削っている。高さ80㎝、直径30cm、胴まわり90cmの桜材だ。そこに12使徒の全体像が、不出来ながら、うしろ側まで荒削り姿でようやく立ち現れた。 10年前、メトロポリタン美術館で見た12使徒群像に衝撃を受け、わたしも死ぬまでに彫りた…

背丈がのびる

さきごろデパートのエレベーターで、10人ほどの女性と乗り合わせたが、うち7、8人の若い女性はみな私より背が高い。電車でもそんな女性が、つり革ではなく上の棒に手をかけているのをよく見かける。たしかに男性だけでなく、女性も身長が伸びた。 しかし皆が…

草を引く

母の入院で、のび放題にした庭に降り、きのうやっと草を引いた。 まわりには蝉の声がかまびすしい。つくつく法師が啼き出すとき、まるで息を吸い込んでいっきに吐き出すかのように「つくつくぼう〜し」と啼き出す、その最初の声にひびきがある。「つく法師そ…

「ロマ書」の二つ折り

新約聖書の「ロマ書」は全16章。これを一枚の紙として、半分に折ると1−8章と9章−16章になる。それも向かい合わせに折らず、背中あわせに折る。ロマ書の「背中合わせ二つ折りの透かし読み」。これが私なりの「ロマ書の読み方」だ。 「軋みつつ福音の扉押しひ…

愛子さまが笑った

オランダに8月末まで静養中の皇太子一家のテレビを見た。 あの「笑わぬ愛子さま」が笑っている。日本では那須の別荘へ行くときも、学習院幼稚園に入学するさいも、にこりともしなかった顔が満面の笑みだ。これが子どもというもの。 大人は笑えぬときでも笑顔…

帰りたい

8月5日、救急車で河北病院に入院した母が、きのう、はつかぶりに帰宅した。 入院中も「帰りたい。ぞうりを持ってきて」と言ったりした。同室の60歳台の女性から聞こえるのは「帰りたい」の言葉。食堂では「すぐ広島へ帰らねばならん」と老人が叫んでいる。認…

左手は偉い

6月末、くも膜下出血で手術をうけた50歳の娘が、今リハビリに励んでいる。感謝なことに、耳が聞こえ、目は開き、口で自由に話せるが、左手、左足がまだ弱い。また左目の視野がせまいらしい。週に一度は病院にゆくが、毎週すこしずつ左手が強められてはいる。…

誤算と大誤算

イスラエルがレバノンの武装組織ヒズボラ(神の党)と、この7月から8月にかけ、34日間戦った。制空権をにぎり、米国供与の最新鋭兵器でレバノンに攻め込んだが勝てなかった。逆にいえばヒズボラは負けなかった。これはヒズボラの勝利だ。イスラム圏ではヒズ…

あいまいな言葉

「お変わりありませんか」「おかげさまで」。この「おかげさまで」は便利な言葉だ。「はい元気です」とも違うあいまいさがある。だれの「おかげ」なのか。元来は「神仏のおかげ」の意味だったろうが、今は相手の好意の「おかげ」に用いるようだ。そのさいは…

常陸(ひたち)山が草刈りに

「キムさん元気」「おかげさまで」。この「おかげさまで」がすらっと出るようになれば、留学生の日本語もたいしたもの。 そのキムさんが「どうして、藤尾さんで、後藤さんですか」と聞く。「えっ?」「同じ藤なのに、発音がちがいます」「なるほど」。韓国で…

本塁打56本、ヒット1000本

20日の日曜日、5万人の大観衆を集めた甲子園での全国高校野球決勝戦は、駒大苫小牧と早稲田実業が、1−1のまま延長15回で引き分け、きょう21日再試合となった。 この15日間で入場者はすでに80万人をこえ、過去最高の81万人(00年)を、この再試合で軽くこえる…

甲子園・選手と応援団

きょう、第88回・全国高校野球選手権大会決勝戦が、北海道の駒大苫小牧高校と、東京の早稲田実業で戦われ、15日間の大会の幕はおりる。 夏の甲子園は、日本人にとり特別なものだ。たんなる野球場ではない。「甲子園の土を踏んだ」。これが一生の宝になる。だ…

拉致(らち)と連行

「朝日新聞」8月18日夕刊は、「強制連行忘れないー中国・天津に記念館」の見出しで、 18日にオープンした「在日殉難烈士記念館」を写真入りで報じた。そこには6800人余の死者の名が刻まれたという。 岩波新書「中国人強制連行」(杉原達著・2002年)によれば…

聖書暗号文

聖書で暗号文が送れます。まさかと思うでしょうが、ほんとうにあった話です。 むかし日本の軍隊では、兵隊が家族に出す手紙はすべて係官が検閲しました。とくに戦地から日本に送る通信は、軍の機密がもれないように、いっそう検閲がきびしかったようです。 …

ほふられた子羊

きのう、ケニヤの獣医師・神戸俊平さんから「ほふられた子羊」の一文が届いた。 マサイの男が「治療してくれ」と羊の首に縄をかけて引っ張ってきた。「治らない」というと、「わかった」と言って木陰をさがし、2、3人の男に羊の頭と足を抑えてもらい、無表情…

一瞬にしてわかる

息子がアメリカの大学へ入ったころ、授業の内容がなかなか理解できなかった。日常会話なら相手が自分に合わせて話してくれるが、授業は専門用語でどんどん進む。友人とコミュニケーションがとれたのは、会話のいらないサッカーだったという。ところがある日…

最良の戦争より最悪の平和

きょうは61回目の「敗戦記念日」だ。「終戦」ともいうが、これは「全滅」を「玉砕」に、「敗走・退却」を「転進」に言いかえた、日本のリーダーの現実をまっすぐ見ない精神のひ弱さのあらわれだ。 61年前のこの日の夜、四国の兵舎の外の民家に、いっせいに明…

英語とテロ

イギリスからアメリカ行き航空機の爆破テロが、8月10日未然に発覚した。ロンドン警視庁の大手柄だ。昨年7月にはロンドン地下鉄でテロが起きている。 しかしなぜ、イギリスとアメリカなのか。それはこの二つの国が使う「英語」と深いところでつながる。いま世…

麻生外相「靖国社案」批判

9月の自民党総裁選に出馬予定の麻生外相が「靖国神社」改革案を示した(8月5日各紙)。骨子は「靖国神社は自主解散」「非宗教法人の財団法人化」「国立追悼施設・靖国社とする」「全国52の護国神社は支部」。 他の二人の総裁候補が、たんに靖国に行く、行か…

自転車と信仰

新しい自転車を買った。自転車も進化したと驚く。第一車体が軽い。また暗くなると自然にライトが点く。それに鍵。レバーを下げるとカチャンと前後輪に施錠する。 さっそく乗って近くのスーパーへ。この小回りがきくのがいい。古い自転車が使えなくなり、重い…

真理は君たちを自由にする

日本の国立の建物で、聖書のギリシア語が刻まれているのは国立国会図書館だけだ。不思議な主の導きで、わたしはそのことにかかわった。 国立国会図書館法には「前文」があり、「国立国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立って、、、ここに設…

ハイラルからの手紙

河野義克さんは、東京大学を出て内務省に入り、岐阜県庁につとめたた翌年、1938年に召集され、満州国のソ連に近いハイラル国境守備隊に二等兵として配属された。 ところが翌年ノモンハン事件が勃発。日本軍はソ連の戦車2200に対し200輌。30個師団に対し11個…

戦争と信仰と深い体験

あまりにも深い体験をすると、人は寡黙になる。どんなに説明しても、その深みは分かってもらえぬと思うからだ。 ひとむかし前、わたしの周りにシベリアでソ連に酷使された方がそこここにいた。50万人の日本人が連行され5万人が死んだ。その方たちはほとんど…

七夕まつり

「荒海や佐渡に横たふ天の川」(芭蕉)。その天の川を渡って織姫と彦星が年に一度会うというのが七夕だ。 中央線の阿佐ヶ谷駅南口では今年も9日まで「七夕まつり」。べつに神社の神をまつるわけでもなく商店街の客寄せ。しかしみな頭上の飾りを眺め、大入り…

娘の転院、母の入院

8月4日、6週間前にくも膜下出血で入院手術を受けた娘が、その千葉県救急医療センターから、リハビリの病院に転院した。 最初倒れたと聞いたとき、いのちがあればよいと思った。それが耳が開け、目が開け、手が開け、口が開け、いま杖を頼りに足で立って歩き…

原爆忌

「荊冠に似るドームの頭(ず)原爆忌」(宮脇白夜)。61年前のきょうヒロシマに原爆。 当時香川県にいたわたしの部隊は、高速艇で連絡将校を宇品の船舶司令部に派遣。「新型爆弾」で広島壊滅の情報。理科出身の兵隊が「たいへんだ!原子爆弾だ!」と騒いだ。…

また会いたい方

きょう8月5日は、家内の母が90歳で天に召されて満10年の命日だ。 もう一度会って話したい人。柔らかな笑顔のすてきな方。父は伝道者で5人の弟妹の長女。小学生のころ、その母親の過保護のせいで、夏は暑いからと早引け、冬は寒いからと遅刻。出席日数ぎりぎ…

刑務所印刷

8月3日の朝日新聞「天声人語」欄で、作家の吉村昭氏が「刑務所通い」をされていたと知り驚いた。わたしも「府中刑務所」「巣鴨刑務所」「横浜刑務所」へ通った。本の印刷費を安くするためだ。 わたしが生まれて初めて造った本が「浅田正吉著作選集」。白洋舎…

美容師・本江慶子さん

けさ頭を洗った。頭を洗うと本江慶子さんを思う。彼女は美容師。それもベル・ジュバンスという、頭をぬるい液体湯で洗浄し体内から毒素をぬくやり方だ。 この美容に出会えたことを、彼女は心から喜び、その大きな器械をわが家に運び、10年あまり、毎月わたし…

基督教独立学園のこと

いまどき日本にこんな高校があるかと驚くのが基督教独立学園だ。 学園の中を深くえぐって滝川が低く流れる。まん中に橋。その左岸に校舎、男子寮、女子寮、運動場、図書館、食堂、牧舎。右岸はひろい農地。校地総面積は6万8000坪。 とにかく周りは深い緑の野…