イエスを福音した

「問題な日本語」という正続2冊本をもらった(大修館)。北原保雄・前筑波大学長の編さんだ。
気になる日本語をとりあげ、どうして使われるようになったかを説明する。
たとえば「きもい・きしょい・うざい」。きもい→気持ち悪い。きしょい→気色悪い。うざい→うざったい(うるさくつきまとわれて不快な気分)の省略。こういった短縮語は悪い意味に使われることが大半という。
また「猫に餌をあげる」も、本来「餌をやる」でよいのに、「やる」はぞんざいで、粗野。「あげる」のほうが上品というので広まったという。もともとは「あげる」は相手を敬う謙譲語だったが「美化語」になったという。
この本の書名「問題な日本語」も、「問題の日本語」が正しいが、<特別の/特別な>、<いろいろの/いろいろな>という表現もあり、<やくざの商売>と、<やくざな商売>では意味が違うように、「問題な日本語」のほうが内容を示しているという。
新約聖書使徒言行録」8章35節で、エチオピアの宦官が伝道者フィリポからが洗礼を受ける。そのときフィリポは「彼にイエスを福音した」とある。これも「問題なギリシア語」だ。しかし「福音」を動詞に使い、<イエスを福音した>という表現は、なんと生き生きしていることか。
宦官は言った。「ほら水だ。洗礼受けるのに、何のさまたげが」(使徒8・36)