雪きゃん

近くのスーパーへ買い物にゆく。自転車で3〜4分だ。途中の坂は行きは下りで調子いいが、帰りは重い荷物でたいへん。登り切った角が待晨集会の内田君夫さんの家。この坂をわたしは「君夫坂」と呼び、「なんだ坂、君夫坂」と自転車をこぐ。
家内が書いたメモを手に品物を選ぶ。たいていメモより倍くらい買う。「あなたは上手ね。欲しいものをちゃんと買って」と家内はほめる。あたり前だ。家に何があり、何がないか家内より知っている。買い物はほぼわたしがするからだ。
むかし母の実家に「雪夫」という下男がいた。皆に「ゆっきゃん」と呼ばれていた。背が低く徴兵検査は不合格だったが、20歳からぐんぐん伸びて大男になった。なんでも「へえ、へえ」と柔和に仕事をした。いまわたしは「雪きゃん」だ。
家事には力仕事がけっこう多い。風呂洗い、草むしり、買い物。81歳の老人は「雪きゃん」がよく似合う。そういえば頭髪は雪のように白い。まさに「雪きゃん」。
「かしらになりたい者は、しもべになりなさい」(マタイ福音書20・27)