乗松さん

shirasagikara2006-02-12

きょうは乗松(のりまつ)さんの85回目の命日だ。乗松さんといってもご存知あるまいが、日本人最初の海外伝道者。1896年に朝鮮伝道に向ったが、その前年、日本公使が指揮した朝鮮王妃虐殺の「閔妃(みんび)事件」が起こり、反日感情渦巻く朝鮮だった。
韓国で日本人の記念碑は皆無に近いが、彼の墓を84年前に、韓国人が京畿道水原(スウオン)に建て今もある。金大熙が撰した墓碑銘の一部を抜書きしよう。
「主の使命を帯び、一切の所有をすて夫婦同心福音を朝鮮に伝う。心肺疼痛し皮 骨凍餓し手足病敗す。その朝鮮における犠牲きわまりぬ。しかるに動静ただ主に頼り苦に甘んずるの楽しみを改めず。臨終の口に朝鮮兄弟のことを絶たず、骨を朝鮮に遺さんことを願う」(原文は漢文)
「乗松さんは朝鮮へ伝道に行ったんじゃない。朝鮮の人々を愛しに行った」とは元水原高等農林教授・佐藤得二のことば。上手な説教は忘れられても愛は残る。わたしは雅休(まさやす)という柔らかな名が好き。その名は地に刻まれ、天に大書された。ニューヨークのユニオン神学校に1989年「乗松記念奨学金」が創設。
「愛は大水も消せない/洪水も押しながせない」(雅歌8・7)
(乗松雅休・1862〜1921 59歳 につき、私はキリスト教雑誌「本のひろば」に二度寄稿。このホームページの「人物短評」に収録)