生涯現役と現役引退

「生涯現役」と張り切る方もいる。だが人それぞれ。わたしはある時期に現役引退がいいと思う。なぜなら人は老いると、えてして頑固になり後進の道をふさぐからだ。
いま100歳前後の日本人は、日本が史上初めて高齢社会に突入した「長寿第1世代」だ。だから年長のお手本がなかった。むかしは60歳で死ねば「年に不足はない」といわれた。キリスト教の指導者でも、新島譲57歳、植村正久67歳、内村鑑三69歳と長寿は少ない。塚本虎二という伝道者も「年をとると老人のお手本がいないので困る」と嘆いた。
ありがたいことに、「長寿第2世代」のわたしなどは老人のお手本がある。いい老人、悪い老人の。
わたしの父は90歳で召されるその晩年は「ありがとう。うれしい。おいしい。ええね。ハレルヤ。万歳」のことばだけになった。これはいい老人。その父も老年には聖書の同じ話を繰り返し困った。これは悪い老人。父は尊敬した大先輩の晩年の講話を聞き「駿馬(しゅんめ)も老いては駑馬(どば)に劣るなあ」と嘆いたが、自分もそうなった。心せねばなるまい。
「われらは神によって勇ましく働きます」(詩篇108・13)