「坊ちゃん」100年

shirasagikara2006-03-15

夏目漱石が名作「坊ちゃん」を書いてちょうど100年。1906年3月半ばから、突然筆を執って月末までに一気に書いた。しかも「吾輩は猫である」と平行執筆。漱石39歳の時。
「坊ちゃん」は、赤シャツに山嵐、うらなりに野太鼓と、登場人物の配置が妙を得て、しかもマドンナで艶を出し、教師、生徒との確執も面白く、わたしは友人にすすめられ、少年の日に岩波文庫で一気に読み、読書の面白さに開眼した一冊だ。
驚くことが二つ。第一はわずか半月で一撃のもとに書き上げたこと。つぎにたった1年しかいなかった松山中学だのに、その伊予ことばを見事に吸収していることだ。
「まだ御存知ないかなもし。こゝらであなた一番の別嬪(べっぴん)さんぢやがなもし。あまり別嬪さんぢやけれ、学校の先生方はマドンナ、マドンナと言ふといでるぞなもし」。
松山市はたった1年しかいなかった漱石をかつぎ、道後温泉から「坊ちゃん電車」を走らせ、松山城では絣に袴の坊ちゃん姿の青年がうろつく。いささか滑稽。しかしすごい影響力。
キリストの福音も、たった3年ユダヤで伝道しただけで、いまも全世界に宣伝影響中。
「ある人の建てた仕事がそのまま残れば、その人は報酬を受ける」(第1コリント3・14)
(写真は2004年松山城で。右は坊ちゃん姿の青年、左は明治の巡査帽の筆者)