いかなご あとを引く味

きのうは「あと味のいい集会」を書いた。きょうは「あとを引く味」の話。
ことしも「いかなご」を阪神の知り合いからいただく。ありがたいこと。
いかなごは、「いかなる魚の子」とか、「糸のように長く連なり泳ぐ」が語源という。その形から「くぎ煮」とも、春に漁が解禁になるため「春告魚」(はるつげうお)、また「小女子」(こうなご)ということもある。
淡路島の東西の浅瀬で産卵し3月の解禁後3週間くらいが食べごろ。家庭でいかなごの煮込みをするのはお嫁さんの腕の見せどころだ。だからその家の味が出る。
鮮度上々のいかなごを水洗いしザルに。鍋に醤油、ザラメ、酒、味醂を溶いて沸騰させ、少しずついかなごを入れ生姜も加える。炊き上がるとザルで水を切り一気に冷やす。
手間ひまかけた春の手作りの愛の味覚。その歯ごたえ、砂糖醤油酒生姜のしつこくなくて深い味。舌に残る旨みがあとを引き、もう一つまみと手が動く。
この「あとを引く味」が大事だ。聖書の話でも、もう一度と「あとを引く話」でなくてはその場かぎりで終わる。しつこくなくて深い味。「こりゃうまい。もうひとつまみ」。
「味わい、見よ、主の恵み深きを」(詩篇34・9)