妻の助け

わたしの妻は藤尾尚子。「なおこ」と読む。
結婚する前から「なおちゃん」と周りからよばれ、ずっと今も。男でも女でも「ちゃん」とよばれるのは心やすく愛されている人が多い。わたしも「なおちゃん」。返事がないと「なおこ」。まだないと「おーい!」。最後は「こら!」。
その家内は「恩寵と真理」という雑誌の校正に毎月つきあってくれた。30年も。初校ゲラをわたしが、原稿は家内が見て、毎月3万字近い文章を、テン、マル、カイギョウと声を出して読む。時に半分眠りかかるのをだましだまして。
わたしは文章を書くと家内に見せる。日本人の常識の中くらい方々に、おわかりくださるかどうかのつもりだが、家内は「検閲してあげる」と偉そうに読む。
頼まれた講演のリハーサルは、60分でも70分でも家内は時間を計って聞き「まあ80点ね」の評価で出かける。最近の白洋舎100周年式典の10分の話も聞いて計った。
その話に出かけるさい、わたしが靴を履いて玄関に立つと、家内は上から手をわたしの頭に置き「よい話ができますように」むにゃむにゃと祈り、ポンと頭をたたいて「これで力が入った」とご満悦。
オモロイ嫁さん。きょうが誕生日。1933年生まれ。
「妻を自分よりも弱いものだとわきまえて生活を共にし、命の恵みを共に受け継ぐ者として尊敬しなさい」(1ペトロ3・7)