靖国とナチス

きのうの「朝日新聞」に、安倍、麻生という小泉後継の有力者が、「中国は靖国問題外交カードに使うな」との批判記事。しかし靖国はれっきとした外交問題だ。たとえばドイツの首脳がナチスの墓参をすれば、周辺諸国は黙っていまい。靖国はそれに似た存在。
被害者と加害者では事実のとらえ方がちがう。朝鮮王朝をつぶされ36年間植民地化された韓国人は、日本人に心のどこかで反感がひそむ。中国人が日本の中国侵略で受けた深手は数え切れない。
その侵略の先頭に立った人々が戦争犯罪者として処刑された。それを祀る神社へ参拝するのは、むかしの傷に塩をすりこむ仕業だ。ドイツのリーダーは賢明にもナチスの墓には詣でない。それどころかナチスと絶縁し、ユダヤ人虐殺を忘れぬ手立てを組み立てた。
戦争犯罪を裁いた「東京裁判」を裁く考えがある。たしかに裁判に偽りもあることを、キリスト信者は「イエスの裁判」でよく知っている。しかしA級戦犯の面々が戦争指導者であったことはまぎれもない事実だ。小泉後継がこうでは日本の孤立はつづくのみか。
「罪を隠している者は栄えない」(箴言28・13)