源平しだれ桃

shirasagikara2006-04-10

庭に「源平しだれ桃」の細い苗木を植えて10年あまり。いまでは片手に余るほどの幹の太さとなった。3月終りから咲き始め4月なかばまで咲く。ことしも、四方に丸くのばし垂れ下がる枝のすみずみまで、群がり重なる花をつけた。
源氏の白旗と平家の赤旗の名のとおり、一本の木に白と赤の花を咲かせる。珍しいのか、道行く人が足を止めて眺めていることもある。
この花を、わたしが気に入っているわけは二つ。
その一つは、枝ぶりのまろやかさだ。ツンツン空に枝を突き立てるのでなく謙遜に垂れ下がる姿。
もう一つは、二つの色がそれぞれあって、自分を主張しながら交じり合う姿。いずれもイエスの福音に近い。
源平という対立するはずの二大勢力が共存するかのように、よく見ると同じ幹からのびて、こちらは「白」の枝、こちらは「赤」の枝があるかと思えば、同じ大枝の白の小枝のそばに、赤の小枝もある。いや同じ小枝に白と赤が並ぶのもある。その白い花のほとんどに赤がにじみ淡いピンクが斑点のように入る。
断乎として相手を拒むのでなく、自分の色を持ちながら相手を認め、自然に受け入れる。夫婦の関係も、宗教や民族の対立も、解決のカギがここにある。
「むしろへりくだって、互いに相手を自分より優れた者と考えなさい」(フィリピ2・3)