すご〜い、きれ〜い

あすからゴールデンウイーク。大型連休だ。国内、海外へどっと人々はくりだす。
日本人は古来旅好きな民族。それが江戸時代、街道も整備され、手形さえあれば庶民の旅行も自由になり、伊勢参宮は「抜け参り」させるほどブームとなった。十返舎一九の「東海道中膝栗毛」はベストセラーだ。
今はテレビが「旅番組」をけっこう流している。これを若い女性タレントにやらせると、何を見ても「すご〜い」「きれ〜い」というばかり。見事な食膳が並び箸をつける段には「おいし〜い」と叫ぶ。どのようにすごいのか、きれいなのか、おいしいのか。言葉の奥行きが浅い。むりもない経験が乏しい。
しかし年配の夫婦や家族づれが登場すると、その美しさ、おいしさを、どこそこのあの風景とか、外国で食べたあの食材とか、味わい深く比較して表現する。
東海道中膝栗毛」には、その表現の細密さ、会話の妙、猥雑なユーモアがある。これが大事だ。弥次郎兵衛と、居候の喜多八が、貧乏なくせに家財道具をはたいて旅にでるとは、無理をしても旅に行く今の日本人と似てはいないか。
それにしても「すご〜い、きれ〜い」のタレントさん。少し表現の勉強をなさっては。聖書を読むのもいい。イエスの表現力に教えられること請け合い。
「何のことを言っているのか、わたしにはわからない」(マタイ26・70)