忍冬 その曲線と放射線

shirasagikara2006-05-13

茶花の忍冬(にんどう)が、5月になると庭の女王のように咲きついだ。梅も桃も木蓮も、花水木も牡丹や鈴蘭さえ、その花期をおえて静まった庭に、いっせいに花筒をひらき、黄色い花粉をのぞかせる。それが夜の雨で花火のように飛び散り土を赤色に染めた。
「千と咲く/忍冬の花/はなやぎて/赤き花筒/花火と飛びぬ」
「忍冬の/つるからまりて/花ひらく/君ぼくあなた/彼ほらみんな」
ばらや牡丹は花ひとつで見事なもの。忍冬は群れ咲くさまが華やかだ。その名のとおり冬から秋まで花をつけるが最盛期は今だ。
忍冬のつるは、法隆寺の玉虫厨子の文様に画かれたが、強い生命力でどこまでも伸びる。伸びると曲げて横のつるにからませる。たとい折れてもそこからまた枝を伸ばし唐草模様になる。そのつるはつぎつぎ円い緑の葉のまん中を突き抜け、まるでアールヌーヴォー。その緑の曲線と、赤い花筒の放射線が綾なす美だ。
人生もまっすぐ伸びようとして曲げられる。曲がりながらも伸びて花を咲かす。大輪ではないが、小さい花を懸命につける。それも四方に放射状にひらく。教会も大輪は少なくていい。平信徒が群れ咲く花のように四方に散って、放射線状に福音を伝える形がいい。
「父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす」(ヨハネ20・21)