新宿高島屋と貨物駅

shirasagikara2006-05-21

新宿高島屋へ行った。ここがむかし国鉄貨物駅だったと知る者もいない。敗戦後、進駐軍のアルバイトで、日給の外に握り飯2個の条件につられ貨物駅に出かけた。
貨車から砂がザーッと降ろされる。それを反対側のトラックに積み上げる。その荷台に乗り代々木練兵場へ向かう。天皇が白馬で近衛連隊を閲兵した練兵場には、美しい米軍将校宿舎が点在し、その道路に砂を落とすのだ。当時を思い感慨が深い。
まず「この世は変わる」ということ。焼け野原だった貨物駅に巨大なデパートが出現。一方、日本軍の練兵場が米軍宿舎。今はNHK本社、体育館、代々木公園に。
建物だけでなく「人間も変わった」。天皇は神から人間になった。むかしの若者が演習に走り回った場所で、いまの若者は自由に歌い踊る。
もう一つ気づいたことは、「人生やればやるほどつらくなることがある」ということ。あの砂の積み込みで、トラックの荷台の砂が高くなるほど、足の下の砂の底が深くなる。なんでこんなにつらくなるのか。
だがそのつらさに耐えたとき、何事かを成し遂げた達成感を持ち、つぎの希望となる。「希望とは、未来の栄光への確実な期待だ」と、「神曲」でダンテは天国のペトロに答える。キリストが向こうにいられる。そのとき「つらさ」が「いや、喜びです」となる。
「草は枯れ、花は散る。しかし主の言葉は永遠に変わることがない」(第1ペトロ1・24)