藤井武のユーモア

きょうは藤井武の命日。藤井は内村鑑三の高弟。その弟子・酒枝義旗先生はわたしの信仰の師。
ふつう藤井武は「まじめが洋服を着て歩いている」と思われ勝ちだ。目黒の今井館での藤井武記念会で、ある方が「純粋の人、藤井武」という話をした。その帰り酒枝先生は「彼は藤井全集で藤井先生を語っているが、先生はもっと愉快な、ユーモアのある方だった」と、こんな話をされた。
桜新町の自宅の集会で、藤井先生がギリシア語を教えられたとき、ギリシア語のABCを暗誦させた。ある人が「Α(アルファ)Β(ベータ)Γ(ガンマ)Δ(デルタ)Ε(イプシロン)Ζ(ゼータ)Η(エータ)」までは言えたが、つぎの「Θ(セータ)」で詰まった。すかさず藤井先生は「君セータね(せいたね)」と皆を笑わせた。
また「日めくりと掛けてなんと解く」と謎解きを出された。当時「日めくり」というぶ厚い1年カレンダーがどこの家にもあり、当日の日付が大きく印刷されていた。一同が「わかりません」と答えると、「牧師と解く。心は<土曜日は青くなって説教の準備をし、日曜日には赤くなって説教をする>」と笑わせた。日めくりの日付は黒い印刷だが、土曜日は青、日曜日は赤色だった。
人間、本だけではわからない。キリストもそうだろう。聖書の奥の底知れぬイエス
「沈黙して、あなたに向かい、賛美をささげます」(詩篇65・2)
(藤井武 内務官僚を辞し独立伝道者。1888・明治21−1930・昭和5 42歳)