回転寿司と巡回伝道

ぐるぐる廻りの回転寿司が、めっぽう安くてうまい。わたしの近くの店では、皿に握りが二つ乗ってどれでも100円。つぎつぎ子どもづれや、女性客も入ってくる。目の前を廻る白い台に新しく握った寿司皿が載る。この「安い」「うまい」「新鮮」は食品商売の基本だ。
それはキリスト教の伝道も同じ。巡回伝道者もぐるぐる廻って福音を語る。むかしの伝道者は、町々をめぐって、毎日のように集会をされ、よく話の種がつきないものだと驚いたが、自分も巡回伝道をするようになって初めてわかった。
それは回転寿司のネタが新鮮なように、巡回伝道者の話は新鮮なのだ。机に座って聖書の話を考えるのと違い、巡回伝道者は、地方の家庭や病院や老人ホームをたずね、その地の求道者、信徒の悩みを聴き、その信仰の証しを耳にする。たとえばハンセン病の「炊飯器」のおばさんや、キヨちゃんの話、岡山の木村英野さんを思い出していただきたい。巡回伝道者は、地方で教わることが多いのだ。
ひとつの町で新鮮な証しを仕入れ、つぎの町でその話をする。人々は目を輝かせて聞く。それらを基本の十字架と復活の台に乗せて話せば、新鮮で満腹する話になる。回転寿司に人はまた足を運ぶ。福音の集会もそうありたい。
「フィリポは、すべての町を巡りながら福音を告げ知らせた」(使徒8・40)