また会いたい方

きょう8月5日は、家内の母が90歳で天に召されて満10年の命日だ。
もう一度会って話したい人。柔らかな笑顔のすてきな方。父は伝道者で5人の弟妹の長女。小学生のころ、その母親の過保護のせいで、夏は暑いからと早引け、冬は寒いからと遅刻。出席日数ぎりぎりの進級。しかし成績はよく「右、総代」。
伝道者の家庭でつつましい生活をしたせいか、今ある材料で料理をつくる天才。晩年、教会の近くに住み、礼拝のあと何人かを呼び込んで振舞う幕内弁当は絶品の評判。
月曜日、礼拝で使われた100足あまりのスリッパを、自宅に持ち帰り、消毒し干して並べるのを楽しみにしていた。それが靴で教会へ入るようになり、失業したと残念がった。
その二階に住んだ次女夫婦が留守宅を貸して外国へ長期出張。二階の住人は階下に気をつかわないのに、家主の母は気を使いオルガンを弾かない。その住人が留守中、泥棒が入った。翌日たずねると裏庭のスチールの大きな道具入れを動かしている。聞くと「泥棒さんがまた入って落ちてぶつかると痛いと思って」。上質の変わったお方。
知的好奇心が強く、わたしが本を造るさい校正を頼むとじつに綿密。恥ずかしそうに誤植を指摘。キリスト信仰が肉体化して人前で母が祈る声は聞かない。その名は信子。
「その信仰は、まずあなたの祖母ロイスと母エウニケに宿りました」(第2テモテ1・5)