誤算と大誤算

イスラエルレバノン武装組織ヒズボラ(神の党)と、この7月から8月にかけ、34日間戦った。制空権をにぎり、米国供与の最新鋭兵器でレバノンに攻め込んだが勝てなかった。逆にいえばヒズボラは負けなかった。これはヒズボラの勝利だ。イスラム圏ではヒズボラ勝利に沸いたという。
イスラエルレバノンを勝手放題に爆撃したが、ヒズボラも3500発のロケット弾をイスラエルに撃ち込んだ。またベイルート沖のイスラエルの軍艦に対艦ミサイルを命中させた。対戦車、対空ミサイルも持ち、資金は豊富、士気は高い。イスラエルの誤算。
むかし米国戦略爆撃報告書を読んだ。日米戦争中、日本軍は太平洋の島々の米軍に、ヌードの女性が早く帰ってと呼びかけるビラを撒いた。米兵の戦意をそぐためだ。しかしヌードは米軍ではおっぴらに兵舎に貼られ、効果なし。一方、米国は日本本土にビラを撒き、いかに日本海軍が壊滅し、日本軍が敗北したかを数字を挙げて呼びかけ、国民の戦意をそごうとしたが、効果なし。日米とも誤算だった。
しかし史上最大の誤算は、イエスの十字架だ。ユダヤのリーダーは、弟子に裏切られ、見捨てられ、弱弱しく無抵抗で死んだイエスを見て、これで彼の宗教運動は終わりと見た。どっこい、そこから福音は始まった。これぞ大誤算。
「十字架の言葉は、滅んでいく者には愚かなものですが、救われる者には神の力です」(第1コリント1・18)