励みなさい、ハゲ見なさい

shirasagikara2006-09-02

わたしの父は「つるっぱげ」だ。若いころ6回も腹膜炎の手術をしたのが原因らしい。30歳ころから薄くなり、50歳ではほとんど髪の毛がなかった。
ある日、床屋の椅子に座ると「ダンナ、どこをやります」「全部やってくれ」。自尊心を傷つけられたのか、以来、電気剃刀で頭のうしろを剃っていた。
だから「すべる」「つるつる」「ぴかぴか」「まばゆい」「光る」は禁句。茶道の弟子にも「サルスベリ」は「サル登れず」と、無茶な指導をしていた。そのくせ、ぴかぴか、きらきらしたものが好きで、茶道の精神と矛盾しているのに平気だ。
そのころ、毎朝家庭で聖書を輪読していて、小学生のわたしの子どもらも順番に読んでいた。聖書は漢字にひらかながふってあり、小学生でも読める。
聖書はまじめな書物だがときにゆかいな読み物にもなる。「ギベアで角笛を吹き、ラマでラッパを鳴らし」(ホセア5・8)を、小学生の長男が読んだ。「ラッパ、おならし」。そこで「おなら、おなら」と大喜び。
「いつも全力を注いで主のわざに励みなさい」(1コリ15・58)は、「励みなさい」を子どもが一字一字ゆっくり読むと「禿げ見なさい」となる。大喜びして、じいちゃんの頭を指差して「ハゲ見なさい、ハゲ見なさい」。これには父も怒れず苦笑い。
「人がもしその頭から毛が抜け落ちても、それがハゲならば清い」(レビ13・10)