頑張らないで一所懸命

shirasagikara2006-09-13

「がんばらないで いっしょけんめい」と葉書を出したら、どんな意味かと聞かれた。
「がんばる」は、自分の眼(がん)を大きくひらいて見張ることだが、頑強に同じ場所から動かない、自分の意思を貫く態度だ。つまり固い「自分」がそこにある。
あるとき韓国の友人と名古屋の地下鉄に乗った。車内のポスターに「がんばれ!中日!」とあるのを見て、「韓国に、この<がんばれ!>という言葉がないのです」と言う。驚いて「その場合どういうの」と聞くと、「イギョラ!(勝て!)でしょうか」の答え。日本人はこの「がんばる」が好きで、「がんばりズム」という言葉まで生まれた。
それに対して、信州の鎌田實というお医者さまが、「がんばらない」生活態度を提唱されて、近年この言葉が広まっている。「頑張る」は「我を張る」ことであり、そこからするりと抜けた「がんばらない」は心をほっとさせ、多くの日本人に受け入れられた。
しかし「がんばらない」だけの、のほほんでも困る。そこでわたしは「一所懸命」を加えた。もともとは封建領主から領地をもらい、そこの経営にいのちをかけるのが「一所懸命」だ。
わたしたちは、主から「お前はここ」と与えられた場所で、「我を張らないで」「一所懸命」に生きる。これがいいのではないか。
「測りなわは、わたしのために好ましい所に落ちた。まことにわたしは良い嗣業を得た」(詩篇16・6)