彼岸花咲く

shirasagikara2006-09-22

どうして彼岸花はこの日がわかるのか。9月21日、彼岸の入りに庭に立つと、そこここに、彼岸花が咲き始めている。
彼岸花では恥ずかしい思い出がある。荻窪の政池仁先生をたずねたとき、「彼岸花は春の彼岸にも咲きますよね」と言うと、先生驚いて「ユキエ、ユキエ!」と奥様を呼び、「彼岸花は春も咲くかね」「いえ、咲きません」。奥様は東京女高師の理科・植物専攻。トホホ。
曼珠沙華」(まんじゅしゃげ)ともいうが、これは天上の花のことだ。反対に「幽霊草」と呼ぶのは墓場に多く咲き、くれない色があせると幽霊の風情になるからか。
子どものころ母が足を腫らしたとき、彼岸花の根を掘りに、いつも花が咲く畦道へ走った。その球根には毒性があり、薬にもなる。農家が畦道に植えるのは、もぐら防ぎのためだ。
この仏教用語の「彼岸」は、悟りの境地のことだが、この世は「此岸」(しがん)。その間に煩悩(ぼんのう)の川があるという。
バンヤンの「天路歴程」で、主人公のクリスチャンが、天国である彼岸を目前に「死の川」に足を踏み入れる。橋も船もない。川水が胸に達したとき、彼は「もうだめ!」と嘆く。同行のホープフルが「足が着きますよ!」と叫ぶ。この川は、その渡る人の信仰により、深くも、浅くもなる川だった。二人は無事「彼岸」に上陸。天使に支えられ天国へ。
「神が人と共に住み、人は神の民となる」(黙示録21・3)