美しい日本の形

「美しい日本へ」を掲げて安部内閣が船出した。これで日本はたしかに右へ振れる。
安倍総理教育基本法の改正から始める。そのねらいは「国と郷土愛」。つまり愛国心の高揚。内村鑑三は「いまやわが国に恥ずかしき名あり。その一は愛国者。その二は基督者。その偽善なること、いくじなきこと」と喝破したが、この愛国が近代日本を破滅に導いた。
「美しい日本」。その自然は美しい。輝く白雪の富士。瀬戸の島々の夕暮れ。沖縄の海の美しさは、ペルリ艦隊が心を奪われた150年前と変わらない。海から火山がそそり立つ九州の山々。雄大な北海道の原野。奇岩を白波が噛む東北三陸海岸。さわやかな信州の山と渓谷。欝勃たる熊野古道
この日本を美しい形にするため、日本の冠「平和憲法」は脱がせない。爆笑問題大田光と、文化人類学者の中沢新一も「憲法九条を世界遺産に」(集英社)と提唱している。総理の憲法改正と逆方向だ。
さらに大事なのは、日本国の志、国としての品格だ。いくら金があっても、品格がないと人も国家も尊敬されない。旧約聖書にも「正義は国を高くし、罪は民をはずかしめる」(箴言14・32)とある。「美しい日本の形」は、平和憲法を冠り、正義の杖をにぎり、まっすぐな志で背筋を伸ばす。一番の反常識が、一番現実を動かすことがある。あの独立学園の鈴木弼美のように。
「その誉れは人からではなく、神から来る」(ローマ2・29)