中古自転車と核兵器

朝日新聞」10月14日朝刊の第1ページのまん中に、日本から退去命令をうけ、舞鶴港から北朝鮮へ帰る船の写真が大きく載った。
その船には甲板からうず高く、倒れるばかりに満載した中古自転車の山。日本では中古自転車はクズだ。それを満載して帰る北朝鮮はクズ拾い国家だ。中古自転車は庶民の足になる。
この世界最貧国の一つの北朝鮮が、巨費を使って10月9日、核実験をした。ごうごうたる非難を世界から浴び、きょう14日国連では北朝鮮制裁決議が中国の賛成もえて成立する。
日本はこれを笑えない。むかし日本の民衆は貧しく農村は疲弊し軍人が威張り、米国からクズ鉄を輸入するクズ拾い国家なのに、巨費を投じて世界最大の戦艦ヤマト、ムサシをつくった。日本は満州を中国からもぎ取り、国際連盟を脱退し世界から孤立。経済制裁を受けクズ鉄の輸入も止まった。
そして日本は絶望的な戦争に突入。日本も北朝鮮も誇り高い民族だ。いま窮地に追い込まれた北朝鮮が「窮鼠、猫を噛む」の挙に出ないとも限らない。戦争という暴挙は、90%負けると分かっても、10%にかけて始めることがある。日本がそうだった。
あの「ウリナラヌン(わが国は)」と、固く高い調子で語る北朝鮮のアナウンサーの声に、「大本営発表」と、ウソのニュースを流しつづけた日本軍部の固く高い声が重なる。
「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる」(マタイ26・52)