狭いガリラヤから力あふれ

何度か聖地巡礼団に加わりイスラエルを旅した。わたしはある時、東京とエルサレムを重ね、同じ縮尺の比較地図をつくり一行に配った。そしてなんと日本は雄大な国かと驚いた。北海道の稚内はトルコを突き抜けて黒海に入り、エルサレム=カイロは東京=大阪だ。沖縄本島リビアスーダンの境。石垣島西表島はもうチャド。
ガリラヤ湖は、南北20キロ東西12キロ。日本の猪苗代湖よりやや大きい程度。東京では北が赤羽、南は大森。東が両国、西は中野をぐるっと廻る環7の広さ。大阪では北が千里中央、南は玉出。東は守口、西は尼崎くらい。ガリラヤ地方は、南北75キロ東西40キロ。日本の関西でいえば奈良県をひと周り小さくした狭さ。関東では千葉市九十九里の白子に線を引き、その先の房総半島のひろさにすぎない。そこをイエスが歩き回られたが、距離は知れている。日本の一遍上人とは比べられない。
だからバス旅行も楽だ。エルサレムからカルメル山は東京=日光の距離。ガリラヤ湖北端のカファルナウムまでは東京=黒磯。テルアビブまでは東京=毛呂だ。
この狭いガリラヤから噴火が起こった。イエスが十字架で無惨に死に復活されたとき、世界史が動き始めた。その噴火は二千年つづく大噴火となり、今も噴煙が絶えない。
「どんな種よりも小さいのに、成長するとどの野菜よりも大きくなり」(マタイ13・32)