ロマ書二つ折り透かし読み

新約聖書の「ローマの信徒への手紙」は、日本では「ロマ書」と愛称され、聖書中、白眉の文書。その注解書も数知れない。それに藤尾流の読み方一つを加える。
ロマ書は全部で16章。それを二つに折る。1〜8章が前半。9〜16章が後半だ。前半は福音が大わかりして大喜びしている。後半はその喜びが滲み出て信仰生活を支える。
1章<人間はだめだ>という。2章<おれは大丈夫という連中もだめだ>という。3章<キリストのまこと>がわかる。キリストを信じる信仰で救われるのでない。キリストの真実がまずあって救われる。4章<だめな人間も義と認められる>。5章<キリストの血で義とされた>。6章〜7章<身分違いにされる>洗礼、奴隷解放、再婚。7〜8章<大波と平安>大ゆれのあとの無罪宣言で大勝利と叫ぶ。
ここでロマ書を二つに折る。それも裏返しだ。すると1〜8章の喜びが、9〜16章から透けて見える。後半の悲しみや信徒の生活規範も、よろこびあってのことだ。
後半は悲しみで始まる。9章<あまり福音がうれしいので、わかってくれないイスラエル人を悲しむ>。10〜11章<すり替わり>で異邦人が接木され、<逆転すり替わり>でイスラエルの再接木の招きは変わらない。12〜16章<国家権力への対応、教会生活>もすべてキリストのまことで救われた喜びが滲んで支える。「500字ロマ書」。
「だれが、キリストの愛からわたしたちを引き離すことができましょう」(ローマ8・35)