核兵器を持たない日本の偉さ

うなるほど財産をもつ大富豪が「富はむなしい」と言い、底知れぬ学問を修めた大学者が「学問はむなしい」と言ったとする。その人たちは富よりも学問よりも、もっと別のすぐれたものを指さしている。貧乏人が「金がなんだ」と言い、無学者が「学問がなんだ」と言うのと違う重みがある。
核兵器を持たず、造らず、持ち込ませず」という、日本の非核三原則は世界に誇れる国是だ。日本はもし核兵器を造ろうと思えばすぐにでも造れる力がある。十分な力を持ちながら「核はむなしい」と言う日本は、核兵器よりさらにすぐれた別の道をさし示す。
北朝鮮核兵器を廃棄させようと、五か国の首脳がきょうAPEC開催のベトナムで相談するという。核兵器をしこたま持っている米国、ロシア、中国が、たった一つか二つの核兵器を、やっとこさっとこ造った北朝鮮に「捨てなさい」というのは滑稽な話。
腐るほど核兵器を持つ米露中の三か国が「核兵器はむなしい」と言って、「ぼくも核兵器を捨てるから、君も捨てろ」というならともかく、北朝鮮が廃棄に応じるはずがない。
少年ダビデは、完全武装のゴリアトに非武装で戦い勝った。核を持たない日本は、核武装の道でなく、世界を核廃棄へ導けるすばらしい立場の国なのだ。
「剣をとる者はみな、剣で滅びる」(マタイ26・52)