柿の実

shirasagikara2006-11-21

庭の小さな柿が、50個ばかりの実をつけている。毎朝ひとつ熟れたのを食べる。桃栗三年柿八年というが15年前に植えた甘柿だ。
まだ実が青かったころ、長い脚立を立てて30個あまり落としたが、間引き少なかったためか、ことしは実が小さい。それに赤くなった梢の実は、まず鳥が食べる。5つ6つ食べた証拠のへたが赤い皮と残っている。さぞ鳥はおいしかったことだろう。
佐賀県の有田で柿右衛門窯をたずねたことがある。初代柿右衛門が17世紀なかば、白磁の焼物に熟柿色を出すのに成功した苦労話は、たしか小学校教科書で習った。
鎖国時代、オランダを通して欧州に渡ったこの色絵磁器に驚いた王侯貴族は、ドイツではマイセン、オランダでデルフト、フランスのセーブル、イギリスのチェルシーなどの窯元で、柿右衛門様式をまねた磁器を作らせ始める。
それにしても熟柿の色は、リンゴの赤でないオレンジ色、やはり柿色としか言いようがない色艶だ。その柿の実を手のひらに乗せ、その色艶を見ていると、画きたくなる衝動が走る。毎年1、2枚写生するのがならわしだ。
エスは「良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ」と言われた。柿の熟柿色を仰いで柿右衛門は、あの赤を作り出し、その柿色に驚いて欧州で窯元が動き出す。本物がつぎつぎ本物を生み出す。福音という良い木の苗木を、周りに一本でも植えよう。
「霊の結ぶ実は愛であり、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制です」(ガラテヤ5・23)