裏通横丁路地奥教会降誕祭

自転車で東京の裏道を走ってゆくと、こんなところに教会がと驚くことがよくある。バス通りの電柱には「OO教会この横入る」と案内がある。米国の田舎町で、広い大通りの四つ角に二つの教会、すぐそばに別の教会がありびっくりした。
しかし、聖書のクリスマスの物語はバス通り裏の横丁から始まる。当時ローマ帝国には広い石畳の道路網が張りめぐらされていた。今の高速道路だ。ユダヤエルサレムは、そのハイウエーから外れていたが、今でいうバス通りではあった。イエスさま誕生のベツレヘムは、バスも通わぬ田舎道。その横丁の宿屋にも泊めてもらえず、脇の路地の突き当たりの奥の、行き止りにある馬小屋でお生まれになった。だから羊飼いが探すのに苦労した。
エス誕生当時のアジアでは、ハイウエーが走るのは中国。横丁に入ると朝鮮半島。海を越えて行き止りが日本。クリスマスの馬小屋は、路地奥の日本みたいな場所だ。
アジアの路地奥の日本の、そのまた路地奥にある小さな日本の教会。イエスさまのクリスマスをお祝いするのに、一番ふさわしくないか。権力、武力、財力など「力」と縁のないイエス誕生の物語り。日本の教会も「力」に縁はないが、喜びにあふれてクリスマスを祝えば、世界で一番ベツレヘムの馬小屋に近い降誕祭になるはずだ。
「宿屋には彼らの泊まる場所がなかった」(ルカ2・7)