あんたちょっとバカね

「あんたちょっとバカね/あんたよりましよ/ジャンケンポン」。子どものジャンケンのはやしことばだ。たがいに相手をおとしめるが、おだやかに「ちょっと」「まし」と、比較級でやりとりする。最上級の強い非難だとケンカだ。
北京で、日米中韓露が北朝鮮に核廃棄を迫る6者協議が始まった。各国が、核実験をした北朝鮮に「あんたちょっとバカね」という会議だ。北は核をしこたま貯めこむ米中露の三国に「あんたよりましよ」と答える。見返りがなければ核兵器を手放すわけがない。外交交渉はケンカしたら負け。
世界中で、同じ宗派なのにケンカが絶えない。だれが考えても「あんたちょっとバカね」の身内の争いだ。北アイルランドプロテスタントカトリックの抗争。イラクイスラムシーア派スンニ派の対決。パレスチナの反イスラエル武闘組織ハマスと、ファタハの内部対立。
いい大人が、大マジメで、殺しあっている。それも同じ信仰の者同士。外から見ると「あんたちょっとバカね」とわかる。しかし抗争している連中は、外の者に「あんたよりましよ」とは言えない。同じ平面で対立しているからだ。外の者は高い所から見ている。
エスは「空の鳥を見よ」と、自分の目を高くひき上げて見回すことを教えたはずだ。対立、抗争がやむのは、平面から垂直に目がひき上げられたときだ。
「空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない」(マタイ6・26 )