危ないようで大丈夫

ある年の高槻・桜ヶ丘幼稚園のクリスマス会。3階の講堂に200人ほどのママ・パパがカメラや、ビデオを構えてつめかけている。壇上では4列に並び、年ちゅう組や、年ちょう組の園児が声を張り上げる。歌い終わって1列で降りてくる時、たまたま大きな白板の足が横に出て園児の足の邪魔。それがだれ一人つまずかない。不思議なほどそこへ来ると、ぴょんと、白板を見もしないで避ける。子どもの能力には驚く。危ないようで大丈夫。
身体障害者の治療法に乗馬訓練がある。むかし戦場で傷つき走り帰った騎士たちが、馬上でぐらんぐらんしながらも、落馬しなかったことにヒントを得たという。
障害者は、ふだん車椅子に乗り人から見下げられているが、馬上から人を見下げるのも気分がいいらしい。それに介護訓練士に馬の口を取ってもらい、ゆっくり走ると、生まれて初めて「風を切る」快感を覚えるそうだ。その上、障害者はぐらんぐらんしながら、平衡感覚があり、またそれが養われ、喜びの声を上げる。危ないようで大丈夫なのだ。
「危ないようで大丈夫」。わたしたちの生涯も同じだ。ぐらんぐらんと落馬しそうでも、足がつまずきそうでも、ひょいと、復元する能力を主がくださっている。自由で、喜びの人生を生きたい。
「神はこれほど大きな死の危険からわたしたちを救ってくださった」(2コリント1・10)