数え年

「数え年」といっても、若い方はご存知あるまい。前の戦争で負ける前の日本では、年齢を「数え年」で計算した。生まれたとたん、だれしも1歳。正月がくれば2歳。これが数え年だ。今は「満年齢」で数えるが、むかしは正月元日に全国民1歳年齢がふえる。だから古い文献を調べるさい年齢は注意が必要だ。
「おめでとうございます」と挨拶すると、「ことしで何歳になった」と聞かれる。全員、ひとつ年を取るからだ。いまなら19歳1か月の者も20歳になる。「はい、はたちになりました」と答える。だから、若い娘さんで少し婚期の遅れた方は、聞かれるのがいやだったろう。今なら「花の命はけっこう長い」と、30代独身女性も大いばり。
じつは、きのう12月26日が、わたしのほんとうの誕生日だ。そのころは、まだ「おぎゃあ」と泣いている赤子も、生まれると1歳と数える。すると、たった6日で正月になれば2歳になる。これが「数え年」のおかしなところだ。親は生後6日で2歳になるのをあわれんで、わたしを翌1925年1月6日生まれとして戸籍に登録したらしい。
エスさまの年齢を、聖書で12歳とか、30歳としるしているが、案外この「数え年」ではなかったか。教えてほしい。お隣りの韓国では、今もこの古い形の「数え年」だ。
「イエスが宣教を始められたときは、およそ三十歳であった」(ルカ3・23)