映画「筆子 その愛」を観る

映画「筆子 その愛」(山田火砂子監督、主演・常盤貴子市川笑也)を観た。
主人公・石井筆子のことを、昨年NHKが「その時歴史が動いた」で放送するまで、私はまったく知らなかった。筆子は明治13年欧州に留学、フランス語、英語、オランダ語をこなし、元老院議官となった父は男爵。その美貌と語学で鹿鳴館の華と謳われた。津田梅子とともに華族女学校の教師となった彼女が、のち日本の知的障害児教育の母となる、その一生を描いた作品だ。
生涯の底を流れるのは深いキリスト信仰。同じ信仰の滝乃川学園創立者石井亮一(りょういち)は、孤児や智恵遅れの子弟教育に奔走する。筆子自身、知的障害の娘を抱え亮一に共鳴し、華族子女教育とは対極の教育現場に没頭しついに亮一と再婚。
亮一が急病で倒れたとき、窓のそとに大勢の智恵遅れのこどもが、ひざまずき手を合わせて「神さま」と祈った。また棒を振り回しガラスを破る子がいた。その子に両手で叩く太鼓を与えると、大喜びして年中太鼓を叩き、みなの先頭に立って賛美歌を歌い行進する。こういう教育をしていた。
筆子は国立市谷保に移った学園を、亮一なきあと1944年まで支えた。83歳だった。ハンセン病の治療にしろ、障害児教育にしろ、地の塩のような日本のクリスチャンの働きは、天に大書される。
「憐れみ深い人々は、幸いである。その人たちは憐れみを受ける」(マタイ 5・7)
NHK教育テレビ・2月14日(水)20:00〜20:29<石井筆子を知っていますか>出演・山田火砂子監督、常盤貴子。映画に出た施設の子供も出演。<再放送>2月21日(水)13:20〜13:49に)