世界が尊敬する100人の日本人

「NewsWeek」日本版・二〇〇七年一〇月一七日号が、「世界が尊敬する日本人一〇〇人」の特集を組んだ。そこでは海外で活躍するイチローや松井というメジャーな人物でなく、いわば日本の横丁の老舗の職人のように、ひとつのことに打ち込んで、長年努力している高質の日本人をとりあげている。
アフリカのタンザニアでの年間四万本の植林活動とか、フランスでミッシュラン一つ星の料理人や、抹茶ケーキ職人。世界中の野球選手のグローブづくり。難民の視力回復のメガネ。アラビア文字書道家。忍法武道家。ワイン醸造家。調香家。山岳家。作曲家。舞踏家。俳優。生ハム職人。氷の芸術家。モンゴルでのソプラノ歌手。スペースシャトル搭載特殊カメラ製作者。Rubyプログラム開発。心臓外科医。物理学者。医用デジタル開発。米国で九二歳で柔道九段の女性から、一〇歳でマドリードのサッカー下部組織と契約した少年まで。こんなに多彩な人物群像が日本人にいたかと驚くほど。
この一〇〇人の日本人の中に、ケニアの獣医師・神戸俊平さんが入っている。しかも一〇〇人の紹介の多くは一〇〇字程度の記事なのに、俊平さんのは「アフリカゾウの叫びに耳を傾けて」と題し、写真入りで大きな取り上げ方。うれしいことだ。
わたしは一九九四(平成六)年「アフリカと神戸俊平友の会」の創設からかかわった。俊平さんの両親の神戸淳吉夫妻と教会が同じだったからだ。俊平さんはマサイ族のため、その集落の真ん中に新しく動物診療所を建ててツエツエハエ駆除を進め、動物孤児院で奉仕し、野生ゾウの保護や象牙乱獲問題、スラム、エイズ対策に取り組む。ケニア在住三六年、内外上下の信頼が厚く、押しも押されもせぬクリスチャン獣医師だ。
世界の横丁の片すみで、人知れず活躍する日本人がいっぱいいるのは日本の誇りだ。「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」(マタイ25・40)