阿佐谷図書館・文士村

shirasagikara2007-11-18

わが家から自転車で3分たらずに、杉並区立・阿佐谷図書館がある。小回りの利くいい図書館だ。きょねん毎日ブログ・エッセイを書いたとき、どれだけ助けられたか知れない。あやふやなことがあれば、自転車で走ってたしかめ、お世話になった。しかも無料だし、貸し出してもくれる。
その阿佐谷図書館1階フロアに「阿佐谷文士村・作家コーナー」がある。昭和の初期から敗戦後にかけて、このかいわいに多くの文士が住み、さまざまな文芸誌をだして交流をふかめ、井伏鱒二のきもいりで「阿佐谷会」ができたという。
集まった文士は、伊藤整臼井吉見亀井勝一郎河盛好蔵上林暁木山捷平太宰治、外村繁、中野好夫火野葦平、古谷綱武、三好達治たちで、昭和文学に光芒を放つ面々だ。その作品群を阿佐谷図書館が収集閲覧させ、このあたりを文士村と名づけているのだ。
わたしは、いまの阿佐谷図書館あたりを、鷺宮の酒枝義旗先生宅での聖書講義に通うため、なんど往復したことか。そういえばそのころ、あの文士たちの溜まり場で有名だった阿佐谷駅北口の居酒屋のおもてに、「ルーテルさまでもあるまいに、そんなにビールが飲めるかよ」と墨書きの大紙が張り出されていた。酒枝先生宅の手前に、桜にかこまれたルーテル神学校があった時代だ。その神学校に北森嘉蔵先生も住み、阿佐谷図書館近くの銭湯で、ときどきこの偉大な神学者と裸で行き合わせた。たぶん、あの文士たちとも、どこかですれ違ったにちがいない。
東京は面白い。すごい人たちが近所まわりにに住んでいる。
「 わたしは、彼らとわたしの丘の周囲に祝福を与え」(エゼキエル34・26)
(写真は「阿佐谷文士村」の説明碑。背後は阿佐谷図書館)