「笑点」と「サザエさん」

テレビの視聴率週間ランキングで、日本テレビの「笑点」が1位の21.8%、フジテレビの「サザエさん」が2位の21.3%になった(5月17日〜23日・朝日新聞)。これまでも、それぞれが1位や2位になったことはあるが、ならんで1、2位を占めたのはめずらしい。このふたつの番組には共通点がある。第1は「笑い」、第2は「家族で楽しめる」、第3は「長寿番組」、第4は「日曜日の夕方の放送」だ。
笑点」は1966(昭和41)年5月に始まり、もう44年。回数も2200回を数える。「サザエさん」も3年おくれの1969(昭和44)年10月に放送開始、これまた41年。アニメ番組では世界一長いという。
笑点」という番組名は、三浦綾子の小説「氷点」にあやかったもの。初代の司会者は立川談志。彼が「笑点」のタイトルも、大喜利も、座布団での評価方法も決め、落語家の連続テレビ出演のスタイルも定着させた。7人の落語家が、色違いの和服で登場し、5代目司会者・歌丸と、「三題噺」(さんだいばなし)などで鍛えられた6人の落語家が、わずか20分たらずに3回、質問を替えて、当意即妙、丁々発止(ちょうちょうはっし)の言葉の戦い。けっこう時代風刺もある。
サザエさん」は、原作者の長谷川町子さんが、1974(昭和49)年、朝日新聞の連載漫画をやめたあとも延々とつづき、いまは原作からあれこれ取り出し再構成して放送するホームドラマだ。それでも「磯野家」の「波平」「舟」「カツオ」「ワカメ」。同居の「フグ田家」の「サザエ」「マスオ」「タラオ」など、登場人物はおなじみの顔。ただし生活環境は古いままで、携帯電話などは出てこない。
サザエさん」は、いまだに朝日新聞が毎週土曜日「サザエさん<を>さがして」という特集を組む。むかしの「サザエさん」の漫画に、その時代の<徴>が刻印されているのだ。長谷川町子さんは、矢内原忠雄先生なきあと、酒枝義旗先生在世中は、桜新町の自宅から、中野区白鷺の「キリスト教待晨集会」まで礼拝に通われた。ただのアニメではない。洞察が違う、哲学がある。
このふたつの番組に日本人が求めるのは「笑い」だ。しかし1週間たつと、もうその「笑い」はわすれている。イエスを信じる喜びは、何十年とかわらない。不思議だ。
「わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その人の内から生きた水が川となって流れ出るようになる」(ヨハネ7・38)