皇居1周ランニングの魅力

12月18日(土)、日本(読売)テレビの取材をうけた。いま皇居のまわりを走る人々はたいへんふえ、混雑するほどだという。地方からも参加し、なかにはホテルに泊まって皇居1周するツアーまである。その皇居1周ランニングの草分けが、わたしの勤めていた国立国会図書館のランニング・グループだとわかり取材に来宅された。そこで改めて皇居の周りを走る魅力について考えてみた。
まず第1に、日本の中心の東京の、そのまた中心だということ。天皇・皇后が住むその周りを走るのだ。気分がいい。
第2に、皇居のまわりは約5000メートル。東京のど真ん中で、交通信号にひっかからずに5000メートル走れる場所はほかにない。半蔵門や大手門には信号があって、皇宮警察のおまわりさんが立っているが、皇居に出入りするくるまがないから、赤信号でも停まらなくていい。気分がいい。
第3に、走る左右の景色がいい。片方は古い歴史の江戸城で、一方は日本の近代建築というコントラストが見事。三宅坂から走りだすと、左に広い内濠があり、右手に霞が関の官庁街。その左端に警視庁がある。そこを左折すれば桜田門。門をくぐると二重橋広場。やがて右手に東京駅。そのへんは丸の内ビル群が広場の松林の上にそびえる。竹橋近く毎日新聞本社や、国立近代美術館が建ち、左は濠のむこうが江戸城本丸あと。ここの紀伊国坂から苦しいのぼり坂。坂の右には旧近衛連隊の赤レンガ。千鳥が淵を抜けると、右は壮麗な英国大使館。その敷地が切れると半蔵門。右に国立劇場最高裁判所三宅坂のゴールは近い。走り通せた達成感がある。気分がいい。
第4に、観客がいることだ。渋滞するバスの窓から、修学旅行の中学生が「おじちゃん、がんばって」と手をふる。昼休み、霞が関や丸の内からサラリーマンが皇居前にくりだす。観光客が群れる。彼らはランナーをふり向きもしない。しかし人が多い中を走るのであまりぶざまな格好はできない。無言の応援団だ。さびしい道を走るのとは断然ちがう。気分がいい。
第5は、皇居のまわり、どこから走りだしてもいい。自由だ。自分できめられる。気分がいい。
「自分に定められている競走を忍耐強く走り抜こうではありませんか。信仰の創始者また完成者であるイエスを見つめながら」(ヘブル12・1)
<この皇居1周ランニングを取り上げる日本(読売)テレビの「皇室日記」の番組は、2011年1月2日(日)朝5時から放送の予定・ふつう6時半からの放送が、当日箱根駅伝のため変更>