政池仁先生の二刀流伝道

shirasagikara2011-02-14

きのう2月13日(日)、東京・目黒区の今井館聖書講堂で「酒枝義旗先生と政池仁先生とわたし」と題し午後2時半から4時まで講演した。あの内村鑑三や、矢内原忠雄先生らが熱誠こめて聖書を講義された由緒ある講堂だ。聴衆もけっこうあって、横や後ろに補助椅子がでた。ここでは政池先生の「書斎型伝道者と巡回型伝道者」についてしるしてみる。
書斎型伝道者というのは、ふつうの牧師や、おおくの内村鑑三の弟子の伝道者がとった方式だ。牧師館や書斎にこもり、日曜説教や聖書講義を準備する。また信仰雑誌を発行して、聖書の注解や感想文を書く。毎週毎月こういうものをつづけると、時々は出かけても、定期巡回伝道はできない。ところが政池先生はこの両方をこなしていられる。二刀流だ。
月刊「聖書の日本」を発行して、聖書講義や社会批評の論陣を張られる一方、毎月30年つづけて静岡県に行かれたし、41年つづけて山形県で伝道された。北は北海道から九州、沖縄、さらに台湾、韓国まで足をのばし、病人をたずね、ハンセン病者を慰め、毎年夏と冬の聖書講習会を主催、各地の内村鑑三記念講演、平和憲法記念講演で語られた、
しかし、巡回伝道者は地方をまわって教え歩くのではない。逆だ。教えるのでなく教えられに行くのだ。なにを教えられるのか。地方で生きるキリスト信徒の信仰と喜びを教えられるのだ。一つの町で聞いた生き生きとした信仰の証をつぎの集会で話す。いきのいい新鮮なネタを聖書の基本の十字架と復活の上にのせて語る。人々は目を輝かせて聞く。巡回伝道者は地方の信徒からもらった喜びをつぎつぎ話せるから、話が新鮮で種がつきない。
また聖書の話の「おはこ」ができる。同じ聖書の話を別の集会でつぎつぎ話せる。同じ話を20回すれば、すらすら覚えられ「おはこ」になる。書斎型伝道者は毎週、毎週新しい説教や聖書講義をするから「おはこ」ができにくい。
さらに巡回伝道者は地方の信徒の家に泊めてもらうから、その家族と深い交わりができる。集会のあと夜おそくまで語り、その家庭の悩みや喜びを知る。東京で家庭集会をしても、そこへ泊まることはない。だから奇妙なことに、巡回伝道者は、東京の信徒より、地方の信徒とじっこんになる。政池先生の凄みは書斎型を越えたところにあった。主の祝福。
パウロは、シリア州やキリキア州を回って教会を力づけた」(使徒16・41)<写真は講演する藤尾正人>」