傾いた灯籠と奥丁子桜

shirasagikara2011-03-28

さる3月11日の巨大地震で、東京に住むわが家の被害は、灯籠1基が傾いただけですんだ。しかし傾いたその重い石灯籠を支えているのが、塀と奥丁子桜だ。その奥丁子が満開の小花を咲かせながら必死に灯籠を支えていた。(写真)
石灯籠は、一番下に「地輪」とよばれる土台石が半分土に埋まっている。それに縦長の「竿」が立つ。そこへ重い「受台」を据える。その上に灯りを入れる「火袋」が載る。火袋の上へ大きな「笠」を置く。その笠に「宝珠」を乗せる。つまり、大、長、大、小、大、小と、6つの石のパーツがバランスよく接着剤なしに重なっているのだ。その柔構造がぐらんぐらんしながら、これまで長年の地震では倒れずにきた。
巨大地震から2週間たった3月24日に庭師が2人来て、傾いた灯籠を直してくれた。上の宝珠は土に外し、火袋をはさんで笠と受台を固くしばり、火袋は厚紙で巻いてから、引き揚げ用の太巻き綱で締め、スチール三本を三角に組み、それにかけた鉄鎖と綱をつなぎ、ジャッキで少しずつ揚げてゆくのだ。1時間あまりで真っ直ぐ立った。
石灯籠を支えていた奥丁子桜は、山形の基督教独立学園からいただいたものだ。枝先の高さ3メートルほどの奥丁子桜は、幹の太さが胸高で20センチ、わたしの片手で握ると5センチほどあまるほどしかなく、重い灯籠で幹が折れはしないかと心配した。しかし少しこすれただけですんだ。東北らしい強靭な樹だ。「奥丁子」というのは、陸奥(みちのく)で咲く桜だからだ。「丁子」とは、花がふたつ同じところから「丁」の形に出るからだ。
傾いた石灯籠を支える奥丁子桜の姿は、わたしには「陸奥」=「東北」が、重い大災害に耐えている姿と重なって見えた。重い灯籠を引き起し、奥丁子桜を助けたように、早く陸奥や北関東を助けたい。いや日本中が懸命になって助けている。地震津波から2週間で高速東北道も全通した。ただ福島原発のさらなる影響が心配だ。
罪なき東北や北関東の民が撃たれた。イエスもいわれる「シロアムの塔が倒れて死んだあの18人は、エルサレムに住んでいたほかのどの人々よりも、罪深い者だったと思うのか。決してそうではない」(ルカ13・4)。そのとおり。大災害に遭われた方々への上からの助けを祈るばかりだ。
「イエスはお答えになった。『本人が罪を犯したからでも、両親が罪を犯したからでもない。神の業がこの人に現れるためである』」(ヨハネ9・3)