おのおのがた、老後はけっこう長うござるぞ

きょうは「敬老の日」。敬老される「おのおの方、油断めさるな」。人は言う「老い先短い」と。しかし、わたしのように86歳まで生かされてみると「老後はけっこう長い」。ここでいう「老後」とは、80歳以降のことだ。
昭和の初めころは「人生50年」だった。60歳で死ぬと「年に不足なし」といわれた。厚生省がいまの年金制度の枠組みをつくった50年前、日本人の平均寿命は長くて74歳と算定。それが2010年、男性79歳、女性は86歳だ。1億2000万人おしなべての数字。これから80歳以上の男性もぞくぞくあらわれる、だから問われるのは80歳からの生き方だ。100歳以上の日本人は、この2011年9月15日で47756人。日本は実質世界一の長寿国だ。
もちろん個人差はあるが、80歳を越えても元気なじいさん、ばあさんがふえてゆく。もし90歳まで生かされたら10年。10年とすれば、小学1年から高校1年まで。100歳までゆくとすれば20年もある。20年といえば、生まれてから成人までの期間だ。その10年、20年、やる気を出せば、何でも出来る気がするが、悲しいかな、80歳ではその元気がない。しかし、何もせずにべたっと過ごすには、これからの「老後20年」は気が遠くなるほど長くはないか。
80歳になるまでに、何か趣味をお持ちの方は、それをつづければいい。わたしの母など99歳まで茶道の現役の教師だった。また趣味があっても、なくっても、たいていの方は百歳までに、腰が痛い、耳が遠い、眼がしょぼつく、足がふらつく、手が震えると、好きなことも出来なくなる。
そこで80歳からの過ごし方を、自分で考えねばならない。それは自分の能力と体力に合った、好きなこと、小さいこと、毎日出来ること、家族や、まわりに喜ばれ、邪魔にならぬことを根気よくつづけたい。何がいいかは自分で決める。
毎日、聖書を読み、気に入った聖句を書き出すのも面白い。車椅子でもできる。字も書けなくなったら、最後まで出来るのは「祈り」だ。家族のこと、周りのかたのこと、日本や世界のことを神さまに祈ることはできるはず。
「おのおの方、油断めさるな。老後はけっこう長うござるぞ」。いかがなさるか。
「力は若者の栄光。白髪は老人の尊厳」(箴言20・29)