韓流宮廷劇テレビに<はまった>

わたしは、テレビで「韓流」といわれる、韓国ドラマの現代物は見ないが、その宮廷ドラマに<はまって>いる。<はまった>最初が「チャングムの誓い」。16世紀前半の朝鮮王朝第11代・中宗王(在位1506−1544)に仕えた宮廷女官チャングム(長今)の生涯。これがすごく面白かった。NHKがくり返し放送するので3回は観た。つぎが「イサン」。18世紀後期の第22代・正祖王(在位1777−1800)をめぐる物語。そしていまは「トンイ(同伊)」だ。これは第19代・粛宗王(在位1675-1720年)の時代に、才知と正義感に支えられて、最後は王の側室になった女官トンイの話。いま日曜日夜、NHK・BSで「トンイ」を、地上波では「イサン」が再放送中だ。
なぜ韓国宮廷時代劇が、日本人の心をつかむのか。
第一に、宮廷を中心に描かれるから、おのずから気品があり、儒教の国らしく折り目正しく日本人にはなじみやすい。
第二は物語りのテンポの速さと娯楽性の濃さだ。王をめぐる愛と陰謀と友情を織り交ぜ、毎回かたずを飲ませる序破急があり、チャンバラもあり、日本の大河ドラマさえ平板に見える。しかも「チャン・グム」は全54回、「イ・サン」は77回、「トン・イ」は60回と、放送回数が長いのにあきさせない。
第三は、韓国の文化水準の高さだ。「チャングム」では、日本の足利時代なのに、女医の国家養成システムが確立し、大規模な宮廷料理人養成システムもあり、宮廷料理さえ残せなかった貧弱な日本の京都御所を思い正直まいった。江戸幕府当時の「イサン」では、図画署という宮廷美術家集団の存在に驚く。宮中の行事すべてを絵画で記録しているのだ。これも日本の宮中や幕府にないことで感心する。またテレビとはいえ、王や王妃、重臣将官の服装も美々しく復元し、江戸時代、朝鮮通信使を日本の各藩や幕府が鄭重に歓待したわけがわかる。
つまり、隣国の「いいところはいい」と感嘆し、尊敬することから、まことの交わりが深まる。キリストも、ほめるときはうんとほめ、「あなたの信仰は見あげたものだ」と、ふだんユダヤ人が見下げていた外国人女性を賞賛された。感心するときはほめ、叱るときは叱る。個人でも民族でも同じこと。
「イエスはお答えになった。『婦人よ、大きいね、あなたの信仰は』」(マタイ15・28)