蝋梅と雪雫

shirasagikara2012-01-30

1月23日(月)夜、予報どおり東京にも雪が積もった。「真っ白な雪よ」という妻の声に、夜なか、わたしも窓を開けて「赤穂浪士が討ち入りした晩くらいの雪だ」と答えた。
朝になると、白雪が庭をおおっていた。音が消えてる。小鳥はどうしているか。蝋梅が朝日に輝く。不思議に、そこだけに光が強く差す。土曜日には蕾だった蝋梅が、雪をかぶって花を咲かせ、雪が溶けて雫がさがる。東京では珍しく美しい眺めだ(写真)。
「蝋梅のふふめる小枝を床に活けことほぐクリスマスあふるるめぐみ」(山田幸三郎)
蝋梅の名は、花がロウソクの蝋のようにつややかなためだが、年末にも蕾がふくらむことから、臘梅とも書く。その臘梅は旧臘(去年の12月)の、月ヘンの臘だ。
ずいぶん前、歳暮にいただいた紅白の梅鉢を、春に土に植え替えたのが育ち、枝を伸ばし、塀より高くなり、いちめん花をつける。すると、蝋梅の黄とともに、紅白黄の3梅がならぶ。うれしいながめ。
「紅白黄 三梅ならぶ庭は凜」「蝋梅の群れ咲く小枝雪雫」「蝋梅の黄花 蝋めきて ろうたけて」
それに梅は芳香を放つ。ただ残念なことに、歳をとるにつれ嗅覚が鈍る。わたしの母など、とても「においに敏感」だったが、老年には衰えた。87歳のわたしもそうだが、花に顔を近づけるとほのかに香る。
蝋梅は梅より早く初春に咲く。雪をかぶって気品が高い。しかも芳香。花びら5枚ほどで壷形をつくり、5枚は外へひろがる。色はなめらかな黄。それになぜか花はうつむいて開く。落葉樹だが、しつこく広い枯葉があちこち雪にも残る。
蝋梅のように、凜として立ち、艱難に耐え、品格があり、ぷんぷんするにおいでなく、近よればほのかに香り、しかも、うつむきかげんの謙虚さと、しぶとさがあればいい。キリストを信じる信仰も。蝋梅の花言葉は「先導、先見」。
「栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった」(マタイ6・29)