モルモン教徒の大統領候補

shirasagikara2012-05-14

米国共和党大統領候補は、モルモン教徒のロムニー氏にほぼ決まり、改めてモルモン教に関心が集まっている。アメリカ合衆国は、もともと信教の自由を求め、カトリックや、英国国教会の迫害を逃れたピューリタンが始めた国だ。その伝統からいえば、モルモン教徒だからと排斥するのは筋が通らない。しかしカトリックケネディを例外として、プロテスタントが歴代大統領を独占した伝統から、モルモン教徒には違和感もあろう。
むかし国立国会図書館6階会議室で毎週聖書研究会を開き、入り口に「来会歓迎」の札をさげていた。近くに閲覧者の食堂があった。あるとき「入れていただいていいですか」と初老の男性が来られた。聞くと米国ユタ州ソルトレークシティモルモン教会から、日本人の「家系図」収集に国立国会図書館へ派遣されたという。ユタ州の本部には世界最大級の家系図図書館(Family History Library)があり、日本人会員のための作業だ。そのわけは、モルモン教では死んだ先祖のための洗礼をするので、先祖をたどる系図が必要らしい。
当日、わたしが話す当番だったが、「今日はモルモン教の話をしてください」と頼み、みなでお聞きした。内容はほぼ忘れたが「教会」といわず「神殿」とよび、食物禁忌など旧約聖書を重んじ戒律的な印象を受けた。ただ教義の中心はキリストの十字架と復活だという。
モルモン教では教祖ジョセフ・スミスに、1832年キリストの弟子ペテロ、ヨハネヤコブが現れ、按手礼を授けたのを立教の根拠とする。また「モルモン書」という古代アメリカ大陸で記録された書物が「イエス・キリストについての もう一つの証」と重視する。この旧新約聖書以外に経典をもつため、正統派キリスト教からモルモン教は異端とされる。
わたしたちキリスト信徒は、モルモン教といえどひとつの宗教として認め、ロムニー氏が合衆国大統領になったとしても祝福しなくてはならない。モルモン教徒の大統領候補出現は、米国プロテスタンの現状への批判ではないか。
「一切高ぶることなく、柔和で、寛容の心を持ちなさい」(エペソ4・2) <写真は庭のもっこうバラ、赤は忍冬>