オガタマの花

shirasagikara2013-04-22

いま窓の外に、オガタマノキの白い花が咲き誇る。2010年5月、阿佐ヶ谷の神社境内の植木市で買った。植木屋が庭に植えたとき、梢に手が届くほどだったが、まだ花がついていた。そしてことし4月、はるか高くなった枝一面に白い花が湧くように咲き出した。桜のようにパッと咲き散るのでなく、4月から5月にかけて花期が長い。しかも開き切らずに花びらが散る。ひとつの枝に6つ、7つ花芽をつけ、50以上ある枝に300ほど咲く勘定。
「招霊(オギタマ)」とも「小香玉」とも書くが、「招霊」と書けば、神道の榊代わりに、この常緑葉が使われたというから神道くさくなる。しかし「小香玉」と書けば、花は「小さくて」「ほのかに香り」「玉の形で開き切らないで散る」その姿そのままの名だ。断然「小香玉」がいい。
日本神話で、アマテラス大神がアマノ岩戸に隠れて世界が暗黒になったとき、アマノウズメが半裸で踊り岩戸をあけさせるが、そのとき手にしたのがオガタマノキの常緑の枝だったという。それほど日本では古くからあり、樹齢1000年の巨木が全国各地にある。
この庭は、信仰の友の名古屋の造園家・池田睦さんに頼んで、つぎつぎ四季の花が咲く老人むきの庭に改造した。おかげで、年中、手間ひまかけずとも咲く花々がある。「オガタマノキ」も、それに加えた。
キリスト信仰に入る道がそれぞれあるように、信仰に入ったあとの信仰の花もさまざま。牡丹のように華麗な自己主張の強い花もあれば、フキの花や、ニラの花のように、ひっそり咲く花もあり、葉隠れの吉祥草もある。しかし、すべて主キリストを賛美している。歌っている。笑っている。そして花が散るとき、かならずあとに実を残してゆく。後継者にバトンを渡すのだ。花は散りながらキリストを仰いでいる。地面に寝て見上げている。オガタマの根元にも白い花びらが散り敷く。上では枝いっぱいの花盛りだ。
「人は皆、草のようで、その華やかさはすべて草の花のようだ。草は枯れ花は散る」(?ペトロ1・24) <写真は庭の小香玉の花>