「小さいから大きい」オランダ

shirasagikara2013-09-30

このごろイエスが言われた「あなたがたみんなの中でいちばん『小さいものこそ大きい』のである」という形容矛盾の言葉を考えています。
三つの立場があります。まず「小さいものは小さい」という考え(これは現状肯定です)。つぎは「小さいのに大きい」(これは大きいことに価値を置いています)。三つ目は「小さいから大きい」(これは小さいことに価値を置いています)。
むかし「大きいことはいいことだ」の CMが流行りました。経済大国、消費大国がいいこととされた時代です。しかしいまは、むしろ小さいことに価値を認め、「小さいから大きい」日本になればいいとおもいます。そこに確信と誇りと喜びがあればいいのです。
じつは徳川時代(一七世紀初頭〜一九世紀半ば)、日本人は長崎の出島にくるオランダ人しか西欧人を知らなかったので、オランダは大国だと思っていました。それが幕末国際条約を結んでみると、オランダは小国だと知って驚いたのです。オランダは日本の北海道の半分の広さでした。
しかし、その小国オランダがすごいのです。それこそ「小さいから大きい」国でした。国土が狭いうえ、海水より低い土地を有効活用するため、土木技術を磨き、狭い国から外国へ出てゆくために造船技術、航海術を磨きました。カトリック宗主国スペインと八〇年も戦い一六四八年に独立したのです。カルヴァンプロテスタントの国になりました。
アシアからカトリックポルトガルを駆逐して香料貿易を独占します。南アフリカインドネシアを植民地にして海洋大国を築いたのです。「小さいから」力を磨いて「大きい」国になり、学問の水準もずぬけていました。
日本の徳川中期以降、「蘭学」とよばれるオランダ語の学問を、日本のエリートはむさぼり修めます。佐渡出身の司馬凌海という一九歳の天才青年は、オランダ人医師ボンベの医学講義をそのまま通訳・速記できたといいます。しかし日本開国後の外国勢力は、イギリス、フランス、アメリカへと傾きオランダは消えてゆくのです。
「小さいから大きい」を考えてオランダに及びましたが、日本は出島という小さな「のぞき窓」を通し、医学を始め多くを学んだオランダの恩を忘れてはならないとおもいます。 「まず自分の家族を大切にし、親に恩返しをすることを学ばせるべきです」(第1テモテ5・4)
<写真は庭の彼岸花と水引草>